保育所建設中、スギ間伐材 建築で再生

 【江差】道南スギの間伐材をふんだんに活用した、江差町の創設保育所(仮称、江差町茂尻町110の3)の建設現場が2日公開された。スギ間伐材が原料の構造用集成材を生かした大規模な公共施設の建設は道南で初めての取り組みという。町は「道南スギのPRや間伐材の活用につながれば」と期待している。

 保育所は2階建。延べ床面積は約690平方メートル。スギの木調が美しい柱や梁(はり)は、屋内のデザインにそのまま生かされ、壁面にもスギ間伐材を使う。建設工事の進ちょく率は40%程度。来年4月の供用開始を予定している。

 建設に使う間伐材は約64立方メートル。馬場山や椴川の町有林で昨年冬に伐採した。集成材の供給は桧山製材所(江差町)が担当。集成材メーカーの秋田グルーラム(秋田県大館市)やエム・エイチ・グルーラム協同組合(八雲町)が、板材を接着剤と高い圧力で張り合わせて、柱や梁など用途に合わせた構造用集成材に加工した。

 集成材は耐久性、防火性、遮音性に優れ、直径30センチ未満の間伐材も原料に活用できる。工事を請け負った田畑・前田組・本間経常建設共同企業体は「品質も上々。スギ特有の色調や香りが引き出された」と話す。耐震性に優れた工法を併用すれば、鉄筋コンクリート造と同等の強度が得られ、鋼材の価格高騰もありコスト面でも遜色(そんしょく)がないという。

 約1100ヘクタールの町有林がある同町では、1950年代に植林したスギ林が間伐の適齢期にある。植樹、間伐、伐採、供給―の育林サイクル確立を目指し、同町は昨年度から計画的な間伐事業に着手。「今から間伐を始めなければ町有林は荒廃が進む。維持コストを確保しながら、地域固有の資源である道南スギの有効活用に道を開きたい」(同町)としている。

 道南には木材蓄積量で約778万立方メートル(2005年度)のスギ資源がある。渡島管内で約580万立方メートル、桧山管内でも約198立方メートルに上る。育林と木材供給のサイクルを確立することで、環境に優しい再生可能な資源として活用が期待されている。

update 2008/10/3 11:15
提供 - 函館新聞社


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