「いのちの教育」出版…道教大函館校・佐々木馨教授 生命軽視の現代問う
道教育大函館校の佐々木馨教授(62)=日本中世宗教史=が、13冊目の単著となる「いのちの教育〜心育む北国からのメッセージ」を、北海道企画出版センターから出版した。いじめや自殺、殺人など「生命軽視の現代」(佐々木教授)に目を向け、日本人の生死観を多様な角度から見直し、教師や親、人間が命をどう考えていけばいいかを論考している。
「医師や宗教者、哲学者、心理学者など、それぞれの専門家の論考を集めることで命の総合的な研究はできるが、1人の人間が多面的にどこまで命をとらえることができるか、一つの試論となった」と佐々木教授は語る。
教育大や専門学校の学生のほか、小中学生、教師、保護者、高齢者大学の学生など、幅広い世代を対象に独自のアンケートを実施。男性より女性の方が「あの世」の存在を信じる傾向があるが、来世に対する救済を宗教に求めている人は少ないことを指摘。「『千の風になって』が大ヒットしたように、現代は民俗・宗教的な生死観より、文芸・哲学的な生死観を受け入れているようだ」と分析した。
小中学校の保護者に「命の教育は必要か」と聞いたところ、96%が「必要」と答えた。教育現場で行われている「命の教育」の事例を紹介し、道徳の時間だけでなく、国語で「他を思いやる心」、社会で「地域への愛情」、理科で「生物を愛する心」などを横断的に教え、考える教育ができることを指摘した。
佐々木教授は「自他の命を大切に思い、それを尊重する社会を構築するために重要なことは、一人一人が自らの『生きる命』と『消えゆく命』を心の中で自覚し、考えていくことだろう」と話している。
A5判、225ページ。定価2420円。
提供 - 函館新聞社
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