江差町 道民提案に警戒感…公選法問題

 【江差】道議会議員の選挙区決定権限を道に移譲すべきとする「道民提案」がこのほど、高橋はるみ知事の諮問機関・道州制特区提案検討委員会(井上久志会長)に報告された。14支庁の所管区域を基本とする道議選挙区の維持が前提の支庁再編条例を来年4月に施行するには、公職選挙法の改正が必要だが、政局をめぐる混乱から改正の見通しが立たず、条例の施行も危ぶまれている状況。こうしたタイミングで出てきた提案の行方に、江差町などは警戒感を強めている。

 提案は「住民自治の強化」に向けて、道議選挙区の区割りを公選法ではなく、道が自ら条例で定めることができるよう、公選法上での特例などを求めるもの。

 これまでにも解決の糸口が見えない公選法問題を打開するため、道や道議会自民党の一部で、道州制特区による権限移譲を模索する動きもあった。しかし、選挙区割りに関する権限を地方に移譲した場合、「特定の政党・候補者に有利となる“ゲリマンダー”のような恣意(しい)的な行為を防ぐ手だてが無くなる」(関係者)として、総務省サイドが難色を示したという。

 海外でも1812年、米国・マサチューセッツ州知事のエルブリッジ・ゲリーが、選挙に有利に働くよう、地理的状況を無視して区割りを改正。選挙区がトカゲの姿をした精霊・サラマンダーの姿に似た、極めていびつな形になったことにちなみ、こうした手法は“ゲリマンダー”と呼ばれ、地方自治や選挙戦術上の禁じ手とされている。

 検討委は他の道民提案と合わせて、年度内にも取り扱いを審議する。だが、道州制特区推進法に基づき、国に権限移譲を提案する場合、あらためて道議会の議決を要するなどハードルは高い。

 江差町は「道議選挙区の決定権限の移譲は、本来の地方分権を指向したものではない。行き詰まった支庁再編をめぐる混乱を取り繕うもの」と冷ややかな見方も示している。

update 2008/9/30 13:16
提供 - 函館新聞社


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