町民に愛され現役32年目のテレビ 町の文化財に…福島町町民センター

 【福島】福島町福祉センター(町三岳)のロビーにあるテレビは1976年製で、今年で現役32年目を迎えた。同センターが開館した76年3月30日から置かれている。高さ、横幅ともに90センチ、奥行き45センチの昭和の風情を漂わせる木目調の“お宝”は、「大きくて格好いい」と平成生まれの子どもたちにも人気。ただここにきて、2011年7月開始の「地上デジタル放送」が大きな“壁”になってきた。管理する町教委は「末永く使いたいが、地デジ対応が無理なら『昭和の生活用品』として町の文化財的に展示していきたい」としている。

 超薄型で軽量の液晶テレビなどが脚光を浴びる中、この箱型テレビは貴重な存在。チャンネルは手で回す。薄型にはない広い天板は写真立てや飾り置き場としても重宝し、何より温かなデザインが家族団らんを演出する。町教委の金谷栄一郎さんは「当時は最新型で、本当に裕福な家庭じゃないと買えなかった代物」と振り返る。

 電器店経営59年目の町福島274の野川裕行・野川電化サービス社長(53)の査定によると、購入当時の価格は20―30万円と推定される。高卒者の初任給が月給で3万円前後だったことから、「それはそれは高価な買い物だったと思う。あの種類のテレビは長くても10年前後が寿命」とし、「このテレビは本当に幸せだ。皆にずっと愛されているから」と話す。

 野川社長はこのテレビの“長寿”の理由について、(1)イベントなどで町民が集まったときにだけ電源が入れられていた(2)通気が良く湿気が少なかった(3)部品一つ一つが高級―などを挙げる。

 このテレビを見守ってきた金谷さんにとって、最大の心配は地デジへの対応ができるかどうかだが、野川社長は「無理」と即答。「専用の変調機を使えば、映像と音は流れる」としながらも、「それをやったら地デジの意味(高画質)がないので、そこまでやる必要もないと思う」と笑う。

 「故障もなく、町民から長年愛されている自慢のテレビ。これからも大事にしたいが…」。金谷さんの思いは町民、町教委職員も同じだ。こうした状況を受け、町教委は現役引退後のテレビを「昭和の生活用品」という形で残す方向を打ち出した。時代の流れを鮮明に町民に伝えてきたこのテレビは、これからも町民の手で大切に扱われていく。

update 2008/9/25 13:43
提供 - 函館新聞社


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