「家族の支えに感謝」
「夫や周囲の支えがなければこの裁判は戦えなかった。感謝の気持ちでいっぱいです」―。2月25日の逮捕から約7カ月間、取り調べや公判においても一貫して「犯人ではない」と主張し続けた中沢さんに、函館地裁は無罪を言い渡した。岡田裁判官が「被告人は無罪」と主文を読み上げると、傍聴席で見守った家族からも安Gヒ(あんど)の声が漏れた。中沢さんは閉廷後、弁護人の中村勉弁護士(48)と固い握手を交わし、笑顔で喜びを分かち合った。
中沢さんは函館弁護士会館で記者会見に応じ、公判中と同様に毅然(きぜん)とした態度で記者の質問に答えた。「7年間一生懸命働いた会社に裏切られた思いもあり、絶望的にもなった」と心情を明かし「一日も早く検察が控訴をあきらめてほしい」と訴えた。同席した中村弁護士は「主張がおおむね認められ、満足している」と述べ、元検察官の経験から「今後、補充捜査をして、控訴審で逆転有罪とするだけの証拠はないと考えている。必ず無罪判決が繰り返されるだろう」と述べた。
83日間におよぶ拘置中の様子について「『良心を問う』とノートに書かれ(否認を続けていると)バツ印をつけられた」と、厳しい取り調べが続いたことを明かした。また「接見禁止で家族に会えなかった期間がつらかった。(気持ちが折れそうなとき)中村弁護士の励ましが支えになった」と話した。
中村弁護士は「(長期間勤務していた中沢さんを犯人とする)先入観や見込みが先走ったのではないか。客観的に証拠を精査すれば、逮捕状の請求すら難しかったはずだ」と捜査手法を批判。国家賠償請求訴訟の提訴については「無罪確定を待って検討したい。(検察側の)過失を問うことは十分に可能」と述べ、今後、中沢さんの名誉回復の準備を進めるとした。
提供 - 函館新聞社
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