食材の高騰に負けず「もんじゃ焼千景」価格守る
原油や穀物など原材料の高騰で、飲食店にも値上げの動きが広がる中、函館市時任町2の「もんじゃ焼千景(ちかげ)」(吉岡徳男店主)は1985年の開店以来、価格を据え置いている。常連客に学生が多く「たくさん食べたい学生さんがいつでも来られるように」と値上げを抑え、踏ん張っている。
もんじゃ焼き(600―750円)やお好み焼き(500―700円)のメニューに欠かせない小麦粉や油をはじめ、バターやチーズなどの乳製品、ソース、ガス代までがことし軒並み値上がりした。「こんなにたくさんの物がいっぺんに値上がりしたのは初めて。小麦粉は以前の2倍に跳ね上がった」と、吉岡店主の妻弘子さんは嘆く。
出番のスタッフを6人体制から5人体制に減らし、食材をまとめ買いで安く仕入れるなどして経費を節減。さらに人手が少ない分、注文はなるべく1度にまとめてしてもらい、混雑時は食べ終わったら席を次の客に譲ってもらうよう張り紙などで呼び掛け、客にも協力してもらうことにした。
同店は道内のもんじゃ焼き店の草分け的存在で、市内本町で5卓しかない店舗からスタート。94年に函館中部高校近くの現在地へ移り、昨年7月に店舗を新築した。市内各地から高校生や大学生が訪れ、学校祭や卒業シーズンになるとその数も増える。
「学生時代に来て、その後もカップルや家族で来てくれる人も。ただの客ではなく親せきみたいで、店は学生たちとともに年を重ねてきたと思う」と弘子さん。これまで消費税も徴収せず、大みそかと元日以外は休まずに、“学生の味方”として営業を続けてきた。
開店当初に設定した価格は当時の平均レベルだった。物価の上昇に伴い、利益は減る一方だが、楽しみにして来店する客は途絶えない。弘子さんは「函館に帰ってきた昔の常連客が『学生時代に通った店がまだあるのはうれしい』と言ってくれる。この言葉を励みにこれからも値上げせず、店を続けたい」と力を込める。
提供 - 函館新聞社
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