青函など3航路撤退 高速船10月停止…東日本フェリー
東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)が燃油高騰の影響などで函館―青森、函館―大間、室蘭―青森の3航路で展開するフェリー運航事業から11月末までに撤退する方針を固めたことが4日、分かった。昨年9月と今年5月に就航した新型高速船「ナッチャンRera(レラ)」「ナッチャンWorld(ワールド)」(各約1万トン)の2隻も10月末までに運休する見通しで、今後の青函圏の観光や物流に影響が出るのは必至だ。
青函航路の高速船は売却かリースする方向で調整中。従来からの在来船については東日本フェリーの子会社・道南自動車フェリー(同市港町3、関根二夫社長)が2隻をそのまま引き継ぎ、計4隻体制で運航を継続させる方針。函館―大間、室蘭―青森航路については存続に向け、地元自治体の経営支援などを求めていくという。
東日本フェリーは4日までに、道内航路を廃止する意向を函館、室蘭両市をはじめとする道内の自治体など関係先に伝えた。近く海上運送法に基づく事業の休廃止届を北海道運輸局に提出するとともに、8日にも古閑社長が市内で記者会見し、正式に発表するという。
原油高に伴う燃料費の負担増に加え、当初の想定より高速船の利用客が伸び悩んだことが主な理由。燃料となる重油・軽油価格は前年に比べ倍増しており、本年度は3航路全体で赤字が数十億円規模に膨らむ見込みだ。このため1日からは高速船の運賃が一律30%引き上げられたほか、利用客の少ない深夜便などの一部を減便したばかりだった。
今後は現在、金沢―釜山(韓国)航路で運航するフェリー事業と、商船三井フェリーの大洗―苫小牧航路や、川崎近海汽船の八戸―苫小牧航路の一部で運航する船舶貸渡業に業務を絞り込み、経営の効率化や赤字解消を図る。
東日本フェリーは、2003年に会社更生法を申請した旧東日本フェリーを海運会社のリベラ(現リベラホールディングス、広島県呉市)が05年8月に吸収合併し、06年10月に道内のフェリー事業を分割、事業継承するため新たに設立された。
函館―青森間を片道約2時間で結ぶ高速船は昨年9月と今年5月に1隻当たり約90億円かけて導入したが、投資に見合った集客効果が得られず、就航から1年で事業継続を断念する結果となった。函館では日本航空(JAL)や全日空(ANA)の関西空港便の廃止・減便、エアトランセの本社東京移転など、運輸業界の撤退、縮小が相次いでいる。
提供 - 函館新聞社
ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。