DV 2次被害を防ぐ…対応マニュアルを作成

update 2007/8/4 13:15

 函館市や道警、医師会など28機関・団体でつくる「函館市女性に対する暴力対策関係機関会議」は、ドメスティックバイオレンス(=DV、配偶者からの暴力)を受けた被害者への対応マニュアルを作成した。相談対応のばらつきや対応者から精神的に傷つけられる「2次被害」を防ぎ、速やかに支援につなげる狙い。近く関係機関に配布する。市男女共同参画課は「市民が身近な人に相談された場合にも参考になるのでは」と話し、市ホームページでも公開する予定だ。

 同会議はDV被害者の支援体制について検討する場。2002年に市が同会議の意見を参考に発行した「DV被害者対応の手引き」は、要点を絞った内容とした。今回は法改正に伴う制度の変更点などを盛り込み、被害者への対応方法や心構え、自立を助ける各種社会福祉制度などをより詳細に掲載した。

 DV被害者への対応方法としては「相手の話をよく聞き、全面的に受け止め、共感する」といった基本姿勢を示し、被害者への接し方や聞いてはいけない質問など、対応の良い例と悪い例を具体的に挙げた。加害者への対応についても例示している。

 生命に危険を感じる緊急時の対応では警察への通報、安全確保のため、緊急一時保護施設(シェルター)に被害者を避難させる際の対応のほか、避難後の生活保護(医療扶助)、子どもの就学などの手続きについても説明。

 法改正や国の通達で可能になった、加害者の追跡を防ぐ住民基本台帳の閲覧制限の申し出や、扶養者の手続きなしで国保に切り替える方法なども加えた。このほか離婚や子どもの親権など事務が煩雑な司法手続きについても詳しく記されている。

 同会議の構成団体で、被害者相談やシェルターの運営委託を受けるNPO法人(特定非営利活動法人)ウイメンズネット函館の古川満寿子理事長は「近年、市役所などの理解もあって2次被害は減りつつあり、医療機関の関心も高まっている。ただDVに配慮せず、加害者と被害者を対等に扱う調停員がたまにいる」と指摘する。「DVは支配の中で行われる暴力。暴力を振るう人が悪いことを伝え、被害者が自分を責めないような応対をしなくてはいけない。対応マニュアルは支援にかかわる人のスキルアップにつながる」と話している。

 DV相談は同NPO TEL0138・33・2110のほか、母子自立支援・女性相談室(中央)TEL同27・8041または同(亀田)TEL同45・5481、渡島支庁TEL同47・5789などでも受け付けている。

提供 - 函館新聞社



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