患者データをネットで共有…函病と地域病院連携 秋にも新システム
update 2007/7/24 11:01
市立函館病院(吉川修身院長)は今秋にも、患者の診療データを地域の医療機関で共有し合う新システムを立ち上げる。インターネットで情報を取得、共有することで、薬の重複投与や副作用の防止、不要な検査の防止などが期待できる。診療データは患者の同意を得て提供するなど、個人情報にも配慮する。函病の下山則彦副院長兼地域医療連携室長は「全国的にも例が少ない双方向利用のシステム」と話している。
国の医療制度改革で、1医療機関で患者の医療を完遂することが難しくなり、地域全体で医療を進めるシステムが求められている。新システムは函病をはじめ、地域の医療機関が情報を共有する「双方向多施設型」で、秋にも立ち上げる第三者機関・道南地域医療連携協議会で運用する。
下山副院長によると、各医療機関の情報を1カ所に集約すれば、データの増大でコンピューターがパンクする恐れがある。新システムでは医療機関がそれぞれデータを持ち、市内のIT(情報技術)関連企業に設けた電算センターのサーバーを通して、情報を入手する。認証された端末でなければサーバーに接続できないようにするなど、二重三重のセキュリティー対策を施す。
函病が提供するのは、注射、処方、検査、画像と読影診断情報、入院時の経過、患者の看護や手術記録などの情報。加入する医療機関により情報量に違いはあるが、注射や検査、処方などの基礎的な情報は提供できるとみられる。
すでに函病と、市内の高橋病院や函館稜北病院などでシステムを試行している。下山副院長は「秋か、遅くとも年度内にはシステムを稼動する。発足当初は最低10病院ほどの加入を目指し、いずれは個人病院も含め、道南の医療機関の半分、100施設ぐらいの参加が目標」と話す。
外部機関(サーバー)を通して個人情報の提供や取得をするため、同システムの運用に当たり函病は23日、市個人情報保護運営審議会(石田勉会長)へ諮問。市の個人情報保護条例で、市以外の電子計算機と通信回線によって結合することは原則として禁止されているが、市民福祉の向上や公益上必要と認められ、承認された。
提供 - 函館新聞社
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