高専、夏の公開講座が始まる
update 2007/7/23 10:38
函館工業高等専門学校(長谷川淳学校長)の2007年度公開講座夏季プログラムが21日からスタートした。8月19日まで約1カ月にわたり、コンピューター、科学、文化など多彩なテーマによる17講座が開かれる。
函高専では毎年、小学生から一般まで幅広く対象とした公開講座を実施。本年度は4月から来年1月まで全27講座を予定。このうち夏休み期間にあたる7、8月は子どもたちの自由研究の参考になりそうな実験や実習を中心とした数多くの講座が集中している。
22日は「大漢和辞典を読む」と「はじめてのガラス細工」の2講座が開かれた。
「大漢和辞典を読む」には市民7人が参加。漢学の巨星、諸橋轍次(もろはしてつじ)博士(1883―1982年)が生涯をかけて編さんした「大漢和」の概要や引き方などを教員3人が紹介し、言葉の世界の歴史や奥深さを学んだ。
大漢和は昭和初期に編さん着手。延べ25万人以上の労力と当時の資金で6億円をかけ、戦後に全12巻、索引や補巻など3巻を発行した。親字数は5万語、語彙(ごい)は53万語で、泊功准教授は「世界の頂点に立つ漢和辞典」と述べた。
宮家の命名や元号などには、儒教文化を背景にした徳のある古典の意味があるため、諸橋博士をはじめ漢学者は、皇室とも深いつながりがあることを紹介。一画は「一」「乙」だが、最も多い画数は「龍」の字を4つ書く字で48画あることを、実際に高専所蔵の大漢和を引いて学んだ。
鳴海雅哉准教授は、活用方法を紹介。大漢和には言葉の出典も明記しており、「盥漱」(かんそう=手を洗い、口をすすぐ)は、中国の「礼記」にあり、原典で意味を確かめることで発展した知識が得られるとした。
松代周平教授は、森おう外の著作の一節を示し、「わけ」は「訳」「訣」のどちらが正しいか、などを問い、参加者は実際に引いて確かめ、知識を得ていた。
「はじめてのガラス細工」には、小学生から一般まで、午前と午後の部にそれぞれ20人ずつが参加。物質工学科の小林淳哉教授の指導の下、参加者はガスバーナーを使ってロッドと呼ばれるガラスの棒を液体状になるまで溶かし、金属の棒の回りに巻きつけていった。ガラスが冷えて固まると、真ん中に穴の開いたトンボ玉が完成する。
子どもたちの中には、最初は火を怖がる姿も見られたが、慣れてくると、ガラスを重ねて突起物を作ったり、ひねりを加えてみたりと、新しい工夫を取り入れながら、思い思いのデザインを仕上げていった。
母親と参加した工藤真由さん(函館港小4年)は「思ったより難しかったけど、繰り返しているうちにだんだんうまくいくようになった。普段から理科の実験が好きなので今日はとてもたのしかった。夏休みの自由研究の参考にしたい」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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