PTAは歓迎、教職員組合は反発…道教委が導入検討「査定昇給制度」

update 2007/7/7 14:45

 道教委が導入を検討している教職員の「査定昇給制度」をめぐって、道南の教育界でも波紋が広がっている。函館市教委の多賀谷智教育長は「より良い教育につながる評価でなければいけない」などの条件付きで歓迎。市内の小中学校長の間でもこうした声が聞かれ、市PTA連合会の若杉充宏会長も「子どものためになる」ともろ手を挙げて賛成する。一方、北海道教職員組合(北教組)函館支部は「教育にはなじまない」と反発。現場の教員は複雑な思いで受け止めているようだ。

 2005年の人事院勧告で、国家公務員に従来の年功序列から勤務実績に応じた査定昇給への転換が示されたことを受け、道は導入を進めている。すでに一部の幹部職員に先行実施されているが、財政難で給与を削減しているため昇給導入は延期している。

 道教委給与課によると、教職員への制度導入は08年1月からを目指し、制度を検討中。内容が固まり次第、北教組など職員側に提示するという。

 多賀谷教育長は「教員も既得権を守るだけではいけない」と導入に賛成する。ただし、「単なる順番付けで格差を付けるのではいけない。評価された教員の資質を高めることに結びつけなければならない」と、慎重な運用を求める。

 函館市内の50代の小学校校長は「頑張る先生を評価する制度」ととらえる。「時間の拘束や責任が増えるので、クラブ活動や担任、管理職になることを避ける教員がいるのは事実」とし、率先して学校運営に力を注ぐ教員を増やすような、意欲を高める原動力になり得るとみる。ただ「校長は人を見る目を養わなければいけない」と評価する側の資質向上が不可欠と話す。

 北教組函館支部の白鳥宏幸書記長は「数十年先の子どもの未来を考えることが教育」と、評価がなじまない職種であることを強調。さらに「何を持って“頑張っている”とするのかも漠然とし、評価する人間の主観が入る」と、評価の公正性に疑義を唱える。

 部活の顧問を務める函館市内の40代の高校教諭は「不適格教員をズバッと切りたいのが本音だろう」と複雑な思いだ。「国の政策だから」と受け入れる一方、「優れた教員が、教育のノウハウを次の世代に譲らなくなる恐れもある」との弊害を危ぐする。

 檜山管内の中学校で部活の指導に当たる20代の教諭は「今はどれだけやっても報われない。評価してほしいから頑張っているわけではないが、不適格教員がいるのも事実」と受け止める。しかし「保護者と教員の力関係を改善する方が先ではないか」と、理不尽な要求をする保護者への対策を望んでいる。

提供 - 函館新聞社



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