祈念塔前で慰霊…第二次大戦中、収容所でなくなった英国人捕虜の遺族が初来函
update 2007/7/1 12:57
第二次世界大戦中に日本の戦争捕虜となり、1943年、函館の捕虜収容所で亡くなった英国人ジェームズ・ロバート・バターワースさん(享年34歳)の遺族5人が6月29日、函館を初めて訪れた。同30日はジェームズさんを含め、収容中に亡くなった英国人とオランダ人捕虜のための祈念碑前で、亡き父へ祈りをささげた。
来函したのは、イギリス在住のジェームズさんの娘ジョイス・スヌークさん(66)と夫のブランドンさん(73)に、その娘と2人の孫の合わせて5人。
ジョイスさんは87年、母親のエレンさん(8年前に84歳で他界)とともに、ジェームズさんが埋葬されている横浜の地を初めて訪問。その時から「いつか、父が亡くなった函館を訪れたい」と考えていて、ようやく実現にこぎつけた。
当時、函館市台町にあった捕虜収容所は、現在跡地しか残っていないが、建物自体は永全寺(同市昭和2)に移築され、霊拝堂として使用されている。同寺の齊藤隆明住職は2001年、無念の死を遂げた捕虜を慰霊する「世界平和祈念塔」を霊拝堂内に建立。ジョイスさんらのために30日午後から慰霊祭を開くこととなった。
霊拝堂を訪れたジョイスさんは、父の記憶を探るように建物内をじっくりと観察。祈念塔の横に犠牲者の名前が刻まれたプレートがあり、その中に父親の名前を確認すると、真剣な表情で見つめていた。齊藤住職によって追悼式が執り行われると、ジョイスさんは静かに手を合わせ祈念塔に深々と頭を下げていた。
午前中、収容所跡地を訪れたジョイスさんは「跡地から海を見た時、父もあの景色を見たのかもしれないという気がして感慨深かった。函館に来たことで、父の当時の心境を思い浮かべることができて本当によかった」と話していた。
ジョイスさんらは2日まで函館に滞在する。
提供 - 函館新聞社
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