療養生活に潤いと安らぎを…五稜郭病院が移動図書サービス開始

update 2007/6/29 12:28

 函館五稜郭病院(高田竹人院長、病床586)は、病棟を巡回して入院患者に本を貸し出す移動図書サービス「やさしさ図書館(ライブラリー)」を始めた。同病院が看護実習を受け入れている函館白百合高校の看護医療系進学コース1、2年生がボランティア協力する。同病院は「入院患者さまの療養生活に潤いと安らぎを与えられたら」と話している。

 同病院ボランティア「ひまわり」の活動の一環。移動図書サービスは毎週水曜か土曜の1回で、同校生徒33人がボランティア登録し、交代で2―5人が協力する。

 職員の寄付で集めた小説や漫画、患者向けの医療書など約800冊を外来待合スペースの本棚に配備。このうち200冊をボランティアがカートに積み、新棟4―6階のデイルーム(休憩室)3カ所を回る。各病棟では看護師に依頼し、院内放送で患者に案内する。

 デイルームには本の返却箱を設置し、次回の巡回日まで患者が各自で返却する仕組み。同病院によると、患者向けの図書室は全国の病院で設置されているが、巡回図書室の取り組みは珍しいという。

 初活動の27日は生徒5人が参加。生徒は病院ボランティア「ひまわり」のエプロンをそろって身に着け、力を合わせてカートを移動。各階のデイルームに10分程度とどまり、本を借りに訪れた患者に笑顔で利用法を説明していた。

 院内放送を聞いて駆け付けた村上美光さん(78)=同市日吉町=は「家から本を持ってこなくて済むので助かります」と数冊まとめて借りていた。松本良雄さん(53)=七飯町=は「退屈しのぎになる。もう少し本の種類を増やしてもらえたら」と今後の活動に期待を込めた。

 看護師を目指している2年生の渡邉利佳さん(16)は「本の貸し借りだけでなく、患者さんと会話しながら接することができてよかった」と充実した表情を浮かべていた。同校の秋葉芳樹教諭は「正しい言葉遣いや笑顔で患者さんと接することを学ぶいい機会」と話していた。

提供 - 函館新聞社



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