湯量5300立方メートル以下が適正…湯の川温泉

update 2007/6/14 13:00

 函館市水道局は湯の川温泉の「温泉資源適正開発利用に関する研究」の報告をまとめた。報告書は、資源がなくなるなど危機的状況ではないが、保護対策を検討する時期に来ていると指摘。温泉の水位は、1960年代からの約40年間で約12メートル低下していることを踏まえ、1日当たり約6000立方メートルを使用している現状を、5300立方メートル以下にすべきと提言している。市水道局は「将来にわたり温泉を利用していくため、関係者に理解と認識を求め、対策を検討していきたい」としている。

 同研究調査は、温泉の水位低下が続いているため、恒久的な資源維持対策検討のため、道立地質研究所に委託し、2003年度から4年間にわたり実施。過去の供給状況や、水道局のデータなどを含め、分析した。

 湯の川温泉は地下深部から、地層の割れ目を上昇しわき上がる裂カ状泉。市内近郊では、1000メートル級のボーリングを行い掘り出した温泉はあるが、湯の川温泉は、いずれも60―100メートルほどと浅く、65度前後の高温やゆう出量など、優秀な泉源として評価されている。

 泉源は、ホテルや旅館を含め130戸に供給している水道局管理の22カ所と、民間所有の14カ所の計36カ所があり、このうち31カ所が使用されている。1975年ごろまでは各泉源では、自噴していたが、水位の低下から、現在はポンプでくみ上げている。

 ピーク時の96年には、1日に最大で約8900立方メートルを使用。現在は、人為的に供給量を制限したことや、水位低下による影響などで、約6000立方メートルに減少している。調査では、適正量は1日に3200―5300立方メートルとし、地区全体での削減が必要とした。

 また、水位の低下は続いているが、温度や泉質に大きな変化はなく、資源が枯渇するなどの「危機的状況とまでは判断できない」とした。

 具体的な対策としては、削減年次計画や行動計画策定を提言。供給者、民間の泉源所有者、利用者が連携し、適正な湯量に向けて対応するよう求めた。さらに、利用状況に適用可能な供給方法など、システム構築を図るべきとしている。

 水道局では、28日にも関係者向けの説明会を開く予定で、現状を関係者に報告した上で、温泉の使用状況調査など対策検討に協力を求める方針。

提供 - 函館新聞社



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