桧山南部 エゾシカ食害じわり…地元に警戒感
update 2007/2/22 12:53
桧山管内南部ではエゾシカによる農作物や樹木の食害がじわりと広がりを見せ始めた。道内では道東を中心にエゾシカによる農林被害が深刻化。管内でも早急な被害防止対策を求める声も上がっている。
厚沢部町木間内にある町営オートキャンプ場では昨年10月、町の誕生130年を祝い「町民記念の森」を開設。町民約80人が高さ3メートル ほどのサクラ30本を植樹した。植樹祭の直後から、相次いで苗木がエゾシカとみられる食害に遭った。幹は地上数十センチの高さで樹皮がはぎ取られるように食べられていた。幹の全周で樹皮を失った樹木は枯れるという。
施設を管理する町は、幹に金属製のネットを巻いて樹皮を保護したが、食害は場内の樹木にも広がりを見せており、対策に頭を悩ませている。
乙部町では昨春から姫川や千岱野などの山間部で農作物被害が増加。町農林課によると、大豆やブロッコリーの新芽が広い範囲で食べられたほか、保温用に敷かれたビニールシートが踏み荒らされる被害も。町内では昨年、有害駆除と狩猟で6頭のエゾシカを捕獲した。
江差町でもエゾシカの目撃例は増加傾向だ。昨年8月には、朝日町で用水路に転落して水死したエゾシカ1頭が発見された。前後して周辺地域で水稲が食害を被った。椴川地区の森林でも2月下旬、雪面に残された多数の足跡が見つかり、活発な活動を裏付けた。
桧山支庁には、管内での農林業被害について、まとまった被害額の報告はないという。だが、乙部町は「被害は限られた範囲に集中している現状だが、このまま生息数が増加すれば被害が爆発的に増えることも心配される。ここ数年が正念場」(農林課)とみる。
また、狩猟関係者は「管内にはエゾシカ猟を行うハンターが少ない。今はまだエゾシカの警戒心も緩いが、人を恐れるようになると、不慣れなハンターでは俊敏に逃げるエゾシカを仕留めることが難しい。生息数が急増してからでは大掛かりな駆除体制を講じることも難しくなる」と話し、早い時点での対策の必要性を指摘する。
提供 - 函館新聞社
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