松前沖に漂流船、船体に北朝鮮の地名

update 2007/6/9 11:36

 【松前】松前町江良の江良漁港の沖合約1キロで7日午後、北朝鮮籍とみられる船が転覆したまま漂流しているのを地元の男性漁業者が見つけ、同町役場を通じて松前署や函館海上保安部に届け出た。2日に青森県深浦町沖で脱北者4人が乗った船が見つかったが、今回の船は貝類などの付着状況から長期間、無人で漂流していたとみられる。同署に不法上陸の情報なども入っていないという。

 函館海保によると、船は木造で、長さ6・9メートル、幅約1・6メートル、船底までの深さ約70センチ。船の外側に腐食を防ぐコールタールが塗られ、船尾付近には中国製の耕運機を改造したとみられるエンジンが残されていた。スクリューや積み荷はなかった。

 船体内部のプレートには「清津(チョンジン)…」と北朝鮮の地名が書かれた船舶番号があったほか、船尾には船名と思われる「ラクサン」と発音されるハングルが赤い塗料で記されていた。

 同海保は「北朝鮮の船の可能性が極めて高い。付着した貝類の状態から長期間、一定の場所で係留され、流失してから転覆したと思われる。事件性は低く、少なくとも1カ月以上は漂流していたのでは」とみている。

 地元の漁業者からは「(同漁港に)ハングルが書かれたポリタンクやお菓子の袋などが流れ着くことはざらにある」との声も。松前さくら漁協では「松前沖は南から北への潮流が速い。普通に操業していれば、こんなに貝は付かない」と話していた。

 同海保によると、ハングルが記載された不審漂着船は2002年4月から、旧熊石町(現八雲町)、福島町、函館市、北斗市、上ノ国町で計6隻見つかっている。

 現場は日本海に面した松前町の北西部。木造船は今後、町が漂流物として約6カ月間保管した後、廃棄処分される見通し。

提供 - 函館新聞社



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