西尾市長就任1カ月、副市長人事で改革色
update 2007/5/27 18:01
函館市の西尾正範市長(58)は、27日で就任1カ月となった。前市長との“庁内対決”で市政刷新を訴え、議会や経済界の一部も批判しながら、圧倒的な勝利を飾った。経済界との関係修復も表面上は進み、議会とも互いが一定の距離を置いた。特別職や幹部職員は全員留任させたが、副市長人事で民間人を登用する意向を示すなど、西尾カラーを出している。6月の定例市議会に提出する補正予算案で、どれだけ独自色を出せるかも注目される。
市長はこの1カ月、公約や政策について職員に自身の考えを伝えてきたほか、あいさつ回りや来訪者の応対などで多忙な日々を送った。市役所幹部の机には市長選マニフェストのコピーが見られ、部局に関係する公約部分をマーカーで引いて確認する職員もいる。「市長の意向を確認しないと具体的な内容が分からない公約もある」との声が多くの幹部から聞かれる。
「選挙中にあったことは一切水に流す。今後は地域の活性化に向け、どう考えるべきかを互いに調整したい」
函館商工会議所の高野洋蔵会頭は今月9日、あいさつに訪れた西尾市長にこう伝えた。選挙のしこりから、会頭が不快感を示すことも予想されたが、大人の対応であっけなく「和解」した。「選挙が終われば敵も味方もなく、大同団結すべきだ」と出馬会見で述べた市長の考えと、見る限りでは同じ結果となった。
議会対策も「“根回し”をあまり重要視しないタイプ」(複数の市議)であることが、逆に議会との緊張関係を生んだ。選挙の経緯から、保守系、民主系、公明、共産とも、はっきり「与党会派」とは言えない。各会派は西尾市政に「是々非々」の立場で、これも西尾市長が考えてきた議会関係と一致した形だ。阿部善一議長も「市長とは適度の緊張関係を持つ」と語る。
「人事権は市長にあるから…。異論も出るだろうが、否決まではいかないのでは」―。22日に突然示した民間人登用の副市長人事に、ベテラン市議の1人はこう語った。市役所の改革、刷新を訴えた割に、特別職や幹部職員は全員慰留した。「改革色」が後退した形だが、副市長人事では大逆転劇とも言える決断を下した。
30日からは改革実現に向けた補正予算の市長査定が始まる。「私が当選したからといって、すぐにお金がわき出るものではない」と、当選インタビューで語り、支持者を笑わせたが、公約実現に向けては笑い事では済まされない。
子育てや福祉、教育関係の公約で、年間5億円から10億円の新たな財源が必要とされる。市立小中学校・高校の校長の裁量で自由に使える「知恵の予算」だけで7000万円以上が必要だ。
財政フレームという「丼」に盛り込める事業や予算には限りがある。扶助費や人件費、継続事業、公債費など、どうしても盛らなければならない予算がほとんどの中、どれだけ公約実現に向けた予算をすくって盛ることができるのか。議会との本格的な論戦もこれからで、まずは6月定例議会をどう乗り切るかが最初の試練となる。
提供 - 函館新聞社
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