上ノ国土石流 地滑りは50万立方メートル規模か

update 2007/5/18 14:54

 【上ノ国】上ノ国町の湯ノ岱国有林で発生した土石流の原因となった地滑りは、崩壊した土砂の体積が50万立方メートルに達する大規模なものであることが17日、分かった。

 檜山森林管理署などによると、地滑りは幅250メートル、長さ150メートル、最大で約40メートルの落差があった。土砂は少なくとも30―50万立方メートルに達し、このうち十数万立方メートル前後が土石流となって流出したとみられる。土砂が沢をせき止めている場所もあり、鉄砲水など2次災害の恐れもあるという。

 地滑りとともに消失した沼(長さ100メートル)の周辺には、幅約400bに達する大規模な地滑り跡があることも判明。沼は古い地滑りで生じた崩壊地の末端付近にあり、段差やくぼ地に水がたまったものとみられる。

 今回の地滑りは、雪解け水などの影響で過去のたい積物が再び滑り落ち、沼ごと崩落した可能性があるという。

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 同日午後、檜山森林管理署の許可を得て土石流が流下した湯ノ岱国有林に入った。

 大規模な地滑りが発生した「白水の沢」には約2キロの区間に10基余りの治山ダムがあるが、土石流はダムを次々と越流。最下流のダムで停止していた。谷沿いでは2`以上にわたり直径数bもの岩塊がうねり、表皮をむしり取られた巨木がなぎ倒されている。「ダムがなければ下流に大きな被害を与えた可能性もある」(同署)。

 崩落した沼の水を巻き込みながら谷を駆け下りたことをうかがわせるように土砂は強い粘り気を保っている。樹木の幹には7―8メートルの高さまで泥が張り付き、土石流のすさまじさを物語る。関係者は「山菜シーズンに土石流が発生していたらと思うとゾッとする」と語る。

 数メートルもの厚さがある土砂の間を蛇行しながら流れる水は、泥や粘土を多く含み、白く濁っている。雨脚が強まると、乳白色の流れは音を立てて山を下った。本流の天の川と合流した濁水は約30キロ離れた日本海に流れ込み、海面を白く染めている。漁業者は「魚介類はエラに土砂が詰まると窒息する。粘土が多い土砂は川や海でヘドロになる。魚類やウニ・アワビなど水産資源に影響が出なければいいが」と表情を曇らせた。

 町は漁業被害の防止に向け、国などに対策を求める方針だが、崩壊地やダムにたい積した土砂は膨大で、水質汚濁の原因となる土砂や粘土の微粒子は除去も困難だ。谷底を黒々と埋めた巨大な土石流を前に、打つ手を見いだせない関係者は苦悩の色を深めている。

提供 - 函館新聞社



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