有権者企画「連呼の狭間で」観光

update 2007/4/20 12:46

 景気のバロメーターと言われるタクシー。2002年2月の規制緩和から5年余り、函館でも新規参入や既存企業の増車による過当競争が続く。「生き残るにはお客さま本位の接客を徹底するしかない」。北海道・モーモータクシー(函館市豊川町)の小川司社長(52)は語気を強め、一定の自信をにじませる。

 タクシー激戦区の函館で時速60キロで疾走する“ウシ”が産声を上げたのは7年前。白地に黒ぶちのホルスタイン柄の車両で、個人タクシーとして営業していた小川社長が昨年11月、新会社を立ち上げた。もちろん全車両22台が牛柄だ。

 函館運輸支局が管轄する渡島・檜山のタクシー登録台数は3月末現在1291台。経営難による廃業や減車を差し引いても、この5年余りで100台以上が増えた。反面、管内タクシー会社の売上高は減るばかり。同支局によれば、バブル期(1991年度)の141億6000万円をピークに下降し、2005年度は80億2000万円にまで落ち込んだ。

 好調だった函館観光にも陰りが出てきた。「不景気のせいか以前に比べ客足は鈍く、移動手段も公共交通機関やレンタカーなど多様化している」。しかし、小川社長は続けた。「パイは限られていない」と。

 いち早くホームページを開設して道外からの観光客を掘り起こしたり、ケア輸送士の資格取得に合わせユニバーサル仕様車を導入したりして新たな顧客を次々と開拓。それでも「函館はまだ競争というより旧態依然のなれ合い体質が色濃い。国際観光都市として危機感に乏しいのでは」と嘆く。

 行政には「施設の整備だけでなく、それに命を吹き込む受け皿の構築を」と注文を付けるが、期待はしていない。「もてなしの心と今ある観光資源で民間が何とかするしかない」。自助努力で差別化を図り、函館観光の最前線を快走する。

提供 - 函館新聞社



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