定置網に混入したネズミイルカ 発信機付け放流…北大などの研究グループ
update 2007/4/19 18:58
北大の松石隆准教授や九州大、日本鯨類研究所の研究員らが18日、函館市臼尻町の臼尻漁港沖合の定置網で混獲されたネズミイルカの放流実験を行った。同大生の研究団体「北大鯨類研究会」も研究に携わり、この日は10人が参加。イルカの体長などを記録後、追跡調査に使用する発信機器を取り付け、船上から静かに放流した。
松石准教授らが2002年度から取り組む「定置網に混入するネズミイルカに関する研究プロジェクト」の一環。ネズミイルカは沿岸近くを回遊すると考えられているが目撃数は少なく、個体数や行動について謎が多い。そこで、混獲したネズミイルカの行動を観察したり、網混入の経緯について調査を進める。
このうち、05年から始まった放流実験は4例目。同実験ではイルカの一部に電波発信機を装着。発信器の出す信号を人工衛星で受信することでイルカの位置を知ることができるバイオテレメトリー(生物遠隔測定)という手法を使用する。
研究の一環として、会員は4、5月にかけ約1カ月間、臼尻漁港の水産会社2社の協力を得て会員が毎日、乗船し、大型の定置網に混獲するネズミイルカを確認。今回、研究対象となったのは13日に入網したオス(体長126センチ、30キログラム)。舌の形状から推定1、2歳と見られている。入網確認後、北大内の松石研究室で保護され、会員が世話してきた。
この日、通常の乗船調査を終えた午前8時すぎから放流するネズミイルカの体長などを計測。1年ほどで外れるプラスチック製のボルトを背びれに固定し、フロート(浮き舟)付きの受信機を装着した。その後、沖合5キロ、水深80メートルの地点で、学生らの手によって放流。
位置情報の観測期間は約1カ月。インターネット上から情報を確認し、データ化する。松石准教授は「研究結果から、個体の保全対策、漁の被害の軽減などに役立てたい」と実験に期待を寄せている。
提供 - 函館新聞社
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