3年で樹木再生 浅利さん調査「回復実感」…04年の台風被害状況まとめ

update 2007/4/11 12:13

 【七飯】道教育大函館校元非常勤講師の浅利政俊さん(67)=七飯町緑町在往=はこのほど、2004年9月に発生した台風18号で損害を受けた、同町のリンゴなどの果樹について調査した報告書をまとめた。リンゴの出荷量、花の咲き具合、実のつき方は回復したとしている。浅利さんは「自然災害に正しく対応できるよう状況や経過を記録にまとめることは大切。道内外の生産者との意見交換に使える資料になれば」と話している。

 台風18号により果実が落下したほか、波しぶきが飛散した潮風害で葉や枝が枯れたり、季節外れに花が咲いたりした。潮風害は翌年にも被害が及んだ。

 浅利さんは発生直後から農家を回り状況を調査。「翌年回復できるか不安を持つ人が多かったのは、大きな被害があった時の対処について記録がないため」と考え、回復状況を科学的に検証して記録することにした。

 同町内の農家の協力を得て、樹齢15―18年の王林、レッドゴールド、北斗などのリンゴや、プルーンなどを調査木とし、受粉、開花状況、果実の成長を観察した。新函館農協に出荷されるリンゴの出荷量の推移も調べた。

 04年度の出荷量は、前年度の約55%に当たる250トンと落ち込んだが、05年度は407トンまで回復、06年度(1月現在)は520トンとなった。「平年並みとなったことで農家は樹木の回復を実感できたと思う」と話す。

 調査木は、果芽、葉芽の状態、開花状況、結実とも正常に戻っている。出荷量という具体的な事実と、植物学的な裏付けが合致し、浅利さんは「樹木は3年で完全に元に戻った」と話す。

 調査に農家が協力的だったことや、防風林の必要性が説かれる中、成長の早いマツダヤナギを防風林に導入する農家がいることなどを目の当たりにした浅利さんは「果樹栽培に高い技術力を求め、研修向上に努めていると実感した」と話している。

提供 - 函館新聞社



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