福田首相辞任で市民「無責任だ」「またか」

update 2008/9/3 18:23

 「無責任だ!」「なぜ、この時期に?」―。福田康夫首相が1日夜に退陣を表明してから一夜明けた2日、函館市民らは不可解とも映る辞任劇に憤りや困惑した表情を見せた。政治不信や失望も広がるばかりで、次の首相に対し「党や派閥の利害に関係のない政治運営を」「国民生活を考えて」という切実な声が聞かれた。

 函館市町会連合会の敦賀敬之会長(70)は「洞爺湖サミットが無事終わり、これからというときに辞任とは無責任だ。与野党が協力して政治を行うべき。いつまで国民に負担を掛けるのか」と語気を強める。道教育大函館校3年の山田奈央さん(20)は「またか、という感じ。ころころ変わっても」とあきれ気味。「自分の意見を持って正しいことができる人に次の政権をお願いしたい」と語った。

 市内日吉4の主婦須藤文代さん(77)は「後期高齢者医療制度の問題や価格高騰など何一つ改善されていない。党派に関係なく、本当の意味で日本を良くしてくれる首相を望む」と話した。

 教育関係者からは今回の辞任が児童、生徒に悪影響を与えると指摘する声も。函館桐花中学校の土橋裕二教諭(42)は「臨時国会の召集時に、なぜ今―との思い。何もない今の時期に辞めようと、以前からシナリオがあったのではと考えたくなる。生徒に公民・政治を教えているが、子どもたちもあきれている。生徒が政治家をやってみよう、面白いと、羨望(せんぼう)の眼差しで見ることができる政治家の登場を期待したい」とする。子供たちへの体験学習を通し社会教育を推進するNPO法人「なちゅらす」の赤石哲明代表(31)も「福田首相の発言はどこか他人事で、客観的な物言いだった。失敗を自分の責任としない風潮を助長しそうだ」と心配する。

 批判的な意見が大半を占める中、同情する声も聞かれた。市内白鳥町の主婦林千鶴子さん(61)は「小泉純一郎元首相のようなパフォーマンスと違い、福田首相は落ち着いた印象でまじめに政治に取り組んでいた。今回も逃げ出したのではなく、政治の流れを変えるために辞任したのでは」と理解を示す。

 C型肝炎問題に取り組む市民団体、北海道肝炎友の会「はまなす会」の川上博史会長(56)は「福田政権で患者の救済法が成立、肝炎患者の救済が一歩前進し、これから問題解決に道筋をつけようとしていた時期。次の政権で問題が棚上げされることがないか心配だ」と不安を募らせていた。

提供 - 函館新聞社



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