全盲の澤田校長、札幌に転出

update 2007/4/1 12:31

 函館盲学校の全盲の校長、澤田勝昭(まさあき)さん(57)が1日付で道高等盲学校(札幌)に転出する。「視覚を除く聴覚、嗅覚(きゅうかく)、触覚、味覚の4感をすべて足して新たな6感を育てることがわたしたちの仕事」と函館で過ごした3年間を振り返った。

 澤田さんは1952年、苫小牧市生まれ。小学部から専攻科を修了するまで札幌盲学校(江別)で過ごし、74年、東京教育大教育学部理療科教員養成施設卒業。同年から道高等盲学校で理療科教諭として勤務し、2002年同校教頭と附属理療研修センター副所長を兼務。04年から函館盲学校校長となった。

 校長としては初めての勤務地となる函館で過ごす戸惑いもあったが、「函館は盲学校に理解のある地域」と澤田さん。同校は1895年の開校後、早くから後援会(若山直会長)が立ち上がり、学校を応援。近隣の亀田小、桐花中、大川中、五稜中と学年間交流も続けられ、児童・生徒のコミュニケーション能力の育成に一役買っている。

 また、田家町会(後藤信夫会長)は点字ブロック上に停車する車に注意するなど地域一体となり、きめ細かなサポートが続けられているという。

 函館盲学校の通学区域は渡島・桧山管内。視覚障害は、徐々に理解されつつあるが、盲学校の存在や学習内容は、必ずしも十分には周知されていないのが現状。同校では弱視などの視覚障害についても同様に受け入れていることも知ってもらいたいという。

 同校で過ごした日々を「適切な指導で、子どもの伸びがまったく違うことを実感した。1年間で見違えるように成長した児童もおり、うれしい“驚嘆”だった」と振り返る。同校職員は渡島・桧山地区の公立学校で教育相談にも応じており、「受け持つ教員には視覚障害児の実態や能力をもっと知ってもらいたい。見えないから何もできない、ではなく、工夫すれば伸びる子だということを理解して」と切望する。

 現在、全国で全盲の校長は澤田さんを含め3人。「わたしたちは風の方向、葉の音、人の微妙な息づかい…状況把握のため、持っている情報をどう使うかがうまくなるんです。豊かに生きるため、子どもたちにはそこを伸ばしてもらいたい」

提供 - 函館新聞社



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