江差談合事件 町が対応に苦慮

update 2008/8/24 14:15

 【江差】2005年に江差町が発注した2件の下水道工事の指名競争入札をめぐる談合事件で21日、町内の建設業者2人が有罪判決を受けた。判決は業界団体を中心に繰り返し談合が行われていたことを認定。森町や開発局の官製談合事件で、入札執行の透明化に厳しい視線が向けられる中、再発防止対策を検討する町は対応に苦慮している。

 4社が関与した事件では業者2人が懲役10月・執行猶予3年の有罪判決を受けた。別の業者2人は罰金の略式命令を受けた。

 町は業者4人が書類送検された直後の6月上旬、指名業者56社を町役場に呼んで再発防止を要請。7月には事件に関与した4社を10カ月の指名停止処分とした。町は再発防止対策として、町内業者対象の地域限定型一般競争入札の導入も視野に検討しているが「談合をさせない実効性のある対策は難しい。地域経済への影響もある。慎重な議論が必要」として結論は出ていない。

 しかし、判決では、有罪判決を受けた業者が会長だった江差建設協会は、長年にわたり「技術検討会」を名目に、入札前に業者が会合を持ち談合を繰り返していたと指摘。業界ぐるみの“談合システム”が明るみに出たことで衝撃が走った。

 ある町議は「判決が事実なら看過できない」と憤る。町幹部は「具体的な事は何も分からない。町の書類だけでは裏付けが取れない」と困惑する。町の入札では、過去にも複数の談合情報があったが「事情聴取しても『談合した』と認める業者はいない。高い落札率だけで民間談合の有無は判断できない」(町の関係者)と、対策の難しさを語る。

 檜山管内では公共工事が激減。年間700―600億円あった発注額はこの10年間で半減し、建設業界は厳しい冬の時代にある。ある建設業者は「工事を取るため赤字覚悟で入札する『たたき合い』の時代に入る。弱い業者は生き残れない」と漏らす。だが、捜査関係者は「たたき合いでは業界が持たない。少ないパイを分け合う談合システムは巧妙化しながら温存される」と警戒する。

 判決について飴谷逸男副町長は「指摘された内容が事実であれば極めて遺憾」とし、事件に関与した業者からの事情聴取なども視野に対応を検討する方針を示している。

提供 - 函館新聞社



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