情報公開条例 未制定…道内は知内と乙部
update 2008/7/26 18:54
行政機関の資料や情報について、地域住民が開示請求することができる情報公開制度を規定した「情報公開条例」が制定されていない自治体は、全国でわずか9町村しかなく、道内では道南の知内町と乙部町だけになっていることが、25日分かった。知内町は「条例化するまでもなく、個人情報以外は通常の住民サービスとしてオープンにしている」としているが、地域住民からは「公開できる、できないの線引きがあいまい。住民の権利を軽視しているのでは」(知内町、50代の男性会社員)と疑問視する声も出ている。
国の行政文書の開示義務を定めた情報公開法が1999年に成立し、2001年に施行された以降、全国自治体でも条例化が進んだ。総務省によると、昨年4月1日現在の全国自治体の条例制定率は99・3%に達している。全国的に積極的な情報公開制度の普及、利用が進む中、両町総務課では「条例制定に向けた検討を前向きに進めたい」としているが、まだ具体化はしていない。
知内町によると、役場窓口や各地区で毎年1月に行う地域懇話会などで町民と情報の共有を図っているため、これまでに町民から条例化の要望や問い合わはほぼ皆無だという。ただ、02年3月と9月の定例会一般質問で取り上げられ、「いつでも町の情報は公開していると言っているが、誰がどのように判断をしているのか」とする議員に対し、脇本哲也町長は「わが町はどこよりも情報公開は進んでいる。住民から町のデータはどうなっているのかと聞かれたら、個人情報を除いてはいつでも出さなければならない」と答えている。
ことし4月1日に知内町議会が議会の活性化と公開性を強める議会基本条例を制定、施行したことを受けて、町側も「情報公開の条例化は懸案事項の一つ」としている。
乙部町も同様に、従来のサービスの中で積極的に情報を公開していると説明。有線放送や機関紙、町政懇談会、町内会との連携などで町民と意思疎通を図っており、これまで条例化に向けた動きは特になかったという。
また、条例化となれば「請求手続きが煩雑となり、住民サービスの低下になりかねない」とし、条例化は前向きに検討しながらも、「これまで通り、不都合がないように町民と連携を取っていきたい」としている。
総務省は「自治体の規模にかかわらず条例制定は望ましい。あくまでも自主的な制定が基本だが、住民生活を考えれば、情報公開制度の必要性は増すはず」としている。
同省によると、道外の情報公開条例未制定の自治体は福井県池田町(本年度中に制定予定)、東京都利島村(検討中)と御蔵島村(検討中)、山梨県富士河口湖町(来年度施行予定)、山口県上関町(検討中)、沖縄県与那国町(検討中)と北大東村(本年度中に制定予定)。
同省は8月上旬にも本年度の情報公開条例の制定状況を公表する。
提供 - 函館新聞社
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