知内しおさい園の三澤さんが思い出のバスを水彩画で表現

update 2008/7/15 14:32

 【知内】知内町重内の高齢者総合福祉施設「知内しおさい園」(吉田多加嘉園長)のケアハウスに入居する三澤キサさん(77)は、趣味の水彩画で同施設の利用者や職員らの目を楽しませている。昨年11月に“引退”となった同施設のバス「ほのか号」を写実的に仕上げた最新作は、ち密さが際立ち、関係者も「写真のようで、いまにもエンジン音が聞こえてきそう」「乗ったときのわくわくした気持ちを思い出す」と絶賛する出来栄え。絵としてよみがえった「ほのか号」は大人気で、三澤さんは「喜んでもらえるとうれしい」と話している。

 三澤さんが絵を描き始めたのは知内に来た9年前。「ふと目にした野菜や花が鮮やかで、絵にしてずっと見ていたいと思ったのがきっかけ」という。以来、独学で技術を磨き、3年前からは同施設内のサークル「楽遊会」で八雲町在住の墨絵家天野純男さんに師事している。

 ほのか号は1993年の同施設開園から約15年間、利用者の交通手段として活躍し、「ほのか」の愛称で親しまれてきた。

 昨年11月、ほのか号の引退を耳にした三澤さんは「たくさんの感動と思い出を形として残さなくては」と作品づくりを決意。「奥尻旅行のときは本当に楽しくて、高い窓から眺める景色はきれいだった」と、自身が乗ったときの思いをたどり、写真を見ながら筆を動かした。

 「この絵はすごくすてき。思い出がいっぱい乗っているもの」と、サークル仲間で職員の松山和史さん(32)の言葉などを励みに、4カ月かけて仕上げた。

 施設利用者の家族らに配布される「しおさい園だより6月号」では、「ほのかありがとう」と銘打ち、この作品を掲載。同施設2階の廊下の壁にも展示され、ほのか号をたたえる記念品として同施設への贈呈も決まった。

 吉田園長は「しおさい園の財産としてずっと大事にしたい。ほのか号は写真などの記録がほとんど残っていないので、今回の寄贈は本当にありがたい」と感謝している。

提供 - 函館新聞社



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