函館写真協会が解散
update 2008/7/13 10:27
函館写真協会(川村明雄会長)は11日、北斗市で臨時総会を開き、協会の解散を決めた。所属団体や会員の高齢化、時代の流れにより新規会員の発掘が困難となり、協会の存続が厳しくなった。北海道における写真発祥の地・函館で、50年以上も地域の写真文化の普及、発展に尽力してきた協会の解散に、川村会長(62)は「協会の灯は消したくなかったが、組織運営が難しくなった」と話している。
同協会は1955年6月1日の「写真の日」に、市内や近郊の企業の写真クラブやグループなどの団体で結成。同年の加盟は20団体で、会員は434人、ピーク時は30団体以上が加盟し、年に1度、合同写真展、公募写真展のほか、プロの写真家を招いた講習会を開くなどし、道南の写真愛好家のすそ野を広げ、写真技術のレベルアップを果たしてきた。70年には長年の活動が評価され、函館市文化賞を受賞した。
1994年には加盟団体が16、会員数は118人に減った。吉江和幸副会長(64)は「一眼レフカメラの機能が向上し、多種多様なコンパクトカメラが登場したこのころから、芸術として奥深さを追求しようとする考えを持つ人が少なくなり、楽しく自分が満足できれば良いとする人が増えてきた」と話す。
さらにこの数年、カメラはデジタル化が進み、誰でも簡単に撮影、プリントができるようになり、市内でも女性だけの写真サークルなどが増えてきた。協会では入会を勧めたが、「写真は余暇として楽しむだけにしたい」などと断られ、新規会員の増加にはつながらなかった。川村会長は「協会としてデジタルカメラの講習会を開くなど、新しい波に乗る必要があったかも」と話す。
会員の減少、高齢化は加速し、昨年度の会員は7団体4個人の計72人まで減った。事業は公募展、合同展のみ。高齢化で組織運営を担える人が減ったほか、若いころにあった写真への熱い情熱も少なくなり、写真文化の高揚を目指す会としての意義が問われた。吉江副会長は「この数年、なんとか協会に活気を取り戻そうとしたが、名案は出なかった」と振り返る。
4月に本年度の通常総会を開いた際、川村会長の留任は決まったが、道写真協会の仕事で多忙な吉江副会長が辞任を申し出て、後任が決まらなかった。5月の臨時総会でも副会長が決まらず、協会の存続は難しいとされた。
11日に再び行われた臨時総会では、初めに会の存続について採決したところ「解散」とする団体が6、「休会」が1で、53年の歴史を閉じることが決まった。個人会員の松村幸平さん(75)は「高齢化という時代の流れでやむを得ないのだろうが残念」と語り、川村会長は「カメラを持つ人が増えている限り、協会は再開し、写真文化が盛り上がる日が来てくれるだろう」と話している。
提供 - 函館新聞社
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