南茅部地区でガゴメ短期栽培に成功…北大などの研究グループ
update 2008/7/9 13:47
北大大学院水産科学研究院(原彰彦研究院長)を中心とする研究グループが、ガゴメ(トロロコンブの仲間)を種苗(しゅびょう)から育てるには海水温が低いとされてきた南茅部地区で、短期栽培の実証に成功した。ガゴメは健康に良いとされる粘性多糖類フコイダンなどへの注目で商品化が相次いでいるが、需要過多の状況にある。今回の実証で、栽培地域が拡大し、栽培期間を縮めることで増産だけでなく、心配されてきた資源回復も見込まれ、函館の特産品が新たな一歩を踏み出す契機になりそうだ。
同研究院の安井肇准教授によると、汐首岬を境に恵山から南茅部沖は、冬場から春先にかけての海水温が3―5度。ガゴメの短期栽培に実績のある函館市住吉から根崎、小安町にかけての海域に比べて4度前後低いという。
こうした中、研究グループは、種苗を植え付けた2年目以降になると水温に左右されないものの、1年目の成長に水温が大きな影響を与えるというガゴメ特有のライフサイクルを解明した。
南茅部地区の臼尻町沖で行われてきた今回の栽培では、従来の細胞が1―2層になった初期の種苗ではなく、ある程度成長し、コンブの根にあたる「付着器」が形成される段階のものを植え付けた。その結果、種苗は低水温に大きな影響を受けることもなく、生育期間とされる6カ月を経ても他の海域と遜色(そんしょく)のない状況で、その後も順調な成長を続けているという。
安井准教授は「ガゴメは他のコンブに比べて気難しい特性があるが、環境条件に対応した栽培をすることで、短期間で大型コンブの形成を実践できた」とし、「今後は地域の漁業者の考えを聞きながら、大量生産できる仕組みづくりだけでなく、資源の保全にも取り組んでいきたい」と話している。
提供 - 函館新聞社
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