支庁再編・廃止余波 不安募る町民

update 2008/7/4 09:59

 【江差】支庁制度改革に伴い、江差町では国、道の出先機関の撤退に拍車が掛かるなど、支庁再編の余波を懸念する声が高まっている。町は桧山支庁の統廃合が地域衰退をもたらすとして、徹底抗戦の構えを崩さない一方、同様の悩みを抱える支庁廃止地域とも連携して対応策を探りたい考えだ。

 飴谷逸男副町長は「国や道は強権的に出先機関を引きはがす。雇用や企業誘致などを検討しても水の泡だ。地域振興を強弁する知事の言葉に空々しさを覚える」と語気を強める。

 2004年以降、道森林管理局森林技術センター、農水省江差統計情報センター、江差測候所が相次いで廃止となり、教育機関も道立江差高等技術専門学院、江差南高校が閉校した。職業安定所、法務局なども職員削減や業務の集約が進んだ。ある出先機関の長は「道が支庁を“出張所”に格下げする以上、国も出先機関を維持する理由がなくなる。ウチも時間の問題」と語る。

 飴谷副町長は「支庁廃止を契機に、裁判所、検察庁、税務署などが雪崩を打って縮小・撤退する恐れがある。地方を犠牲にして、道庁だけが助かればよいのか」と訴える。官公庁の廃止が民間企業の撤退や廃業につながることも懸念されている。

 支庁再編で桧山支庁は約4割の職員を3―5年の期間で削減。桧山教育局は全廃となる。町は「家族を含めると200人以上の人口流出が生じる」とする。道は数年前まで多くの職員住宅を新築したが、余剰となる住宅の利用計画は白紙だ。職員が減る庁舎の使い道も決まっていない。ある商工業者は「多くの職員住宅が空き家になればゴーストタウンになる」という。

 道は、新たな振興計画の策定や財政支援で、支庁廃止地域の衰退に歯止めを掛ける方針だが、道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「支庁廃止で地域が衰退する事を認めたようなもの」と批判。同じく支庁が廃止される地域と連携を強化し、今後の対応策を探っていく方針だ。

提供 - 函館新聞社



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