昭和の映画に魅せられて…稲田博さん幼少から映画の資料収集

update 2008/6/27 15:03

 【北斗】北斗市内に住む稲田博さん(79)は、昭和時代の映画に関する資料のコレクションを幼少期からずっと続けている。映画雑誌や新聞、ビデオなどその数は膨大で、自宅の室内には貴重な品々がびっしりと並ぶ。戦前の東京に存在した制作会社「大都映画」をはじめ、昔懐かしい日本映画の資料に囲まれて暮らす稲田さんは「唯一の趣味でコツコツと集めた。市内でもこれだけの量は珍しいのでは」と話している。

 稲田さんは八雲町生まれ。小学生のころ、6歳年上の長兄の故・勝三郎さんが大都映画に熱中し、東京から映画雑誌を取り寄せるなど資料収集を始めた。稲田さんは兄の兵役を機にコレクションを引き継ぎ、資料集めにも力を注いだ。国鉄に勤めて長万部駅で働く傍ら、新聞や雑誌を買い集めたり、東京に足を運んでは古本屋で資料を探した。「給料はほとんど映画に注ぎ込んだ」と笑う。

 自室に並ぶコレクションは、集め続けた雑誌「キネマ旬報」や映画専門の新聞「アサヒ藝能新聞」、映画関連本のほか、当時の映画広告の切り抜きまである。ビデオに録画して保管してある映画作品は1950年代を中心に松竹、大映などの時代劇から現代劇まで2000本余に上る。

 中でも、資料集めのきっかけとなった大都映画への思いは強い。人気役者だった大乗寺八郎さんを偲(しの)ぶ会(東京)に戦後間もなく入会し、全国のファンや大都映画関係者とも交流を重ねた。看板スター、ハヤフサヒデトさんとも「親せき並みの付き合い」で、亡くなる前までやり取りした手紙も大事にしまってある。

 9月に同市で行われる「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)では、ハヤフサさん出演の「争闘阿修羅街」(八代毅監督)が弁士付きで上映される。稲田さんは「再びスクリーンで見れるとは感無量」と話している。

提供 - 函館新聞社



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