イカ釣り一斉休漁

update 2008/6/19 21:51

 原油価格高騰のあおりを受け、全国の小型イカ釣り漁船が18日、2日間の一斉休漁に入った。燃料価格の高騰を理由にした操業停止は史上初めて。全国有数の道南近海を漁場とする函館市漁協所属のイカ釣り漁船約30隻も、全国組織の方針に追随する形で“ストライキ”に突入。出口の見えない燃料価格の高騰に、関係者からは先行きを不安視する声が相次いでいる。

 一斉休漁は、イカ釣り漁業者の任意団体「全国いか釣漁業協議会」(本部・東京)が、燃料高騰にあえぐ漁業者の窮状を訴えるとともに、国に燃料価格への補てんなど支援を求める狙い。イカ釣り漁は集魚灯を使うため燃料の消費量が多く、ほかの漁に比べ価格高騰の影響が大きい。今年は函館近海の海水温が低いため魚体が小さく、卸値も低調で「燃料高と魚価安のダブルパンチ」(同漁協)という。

 所属船31隻が休漁した同漁協によると、燃料となる函館港のA重油価格は、今年6月に1リットル当たり102円と初めて大台を突破。1リットル40円台だった2004年に比べると倍以上に上昇し、この1年だけで1リットル約32・5円も上がった。函館から松前沖の燃油代は一晩で8―10万円の計算になる。

 燃料代を節約しようと、漁業者は速度を落として漁場に向かったり、集魚灯の数や交換頻度を減らしたりしているが「焼け石に水」。18日午前、函館漁港(同市入舟町)に係留中のイカ釣り漁船で整備に当たっていた男性漁業者(81)は「自助努力も限界を超えている」と嘆き、「漁師が漁に出ないなんて本望じゃない。休んだから油が安くなるわけでもない」と続けた。

 ただ、市水産物地方卸売市場によると、18日のスルメイカ(マイカ)の競り値は、いけすイカが高値で1キロ1750円と解禁初日以来の高水準に。今シーズンの平均卸値より1000円以上も急騰した。

 2日間の休漁で19、20の両日はマイカの入荷がなくなるため、活イカを提供する飲食店への影響も少なくない。休漁初日は活イカ用の大型水槽を持つ業者から仕入れは可能だが、マイカは弱りやすく、水槽で買いだめすることも難しい。「2日目はどうなるか分からない」と飲食店関係者は不安げに口をそろえる。

 函館朝市どんぶり横丁市場に恵比寿屋食堂を出す函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「店でも100円程度値上げした。イカの入荷状況や値段が今後どうなるか、朝市関係者から不安の声も聞こえてくる」と話す。

 活魚料理専門店の「いか清」(室田秀文店長)は「活イカが売りなので、もし入荷がないと予約をキャンセルされてしまうこともある」。市内で3店舗を展開する「居酒屋ココ」(林崎勇一社長)は「仕入れ値は前日から1パイ150円程度上がった。最近はいろんな食品が値上がりしているので、お客さんに飲食代を節約されるのが困る」と懸念している。

提供 - 函館新聞社



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