インサイド 支庁再編 知事と地方の埋まらぬ溝
update 2008/6/16 13:52
【江差】支庁再編を目指す高橋はるみ知事は、10日開会の第2回定例道議会に総合振興局設置条例案を提案した。江差町など支庁廃止地域は提案強行に猛反発し、道町村会など地方4団体も態度を硬化させている。条例成立に意欲を示し、4団体トップの説得に乗り出した高橋知事だが、不信感を強める地方側との溝は広がる一方だ。
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1月、再編案の説明のため江差町を訪れた嵐田昇副知事。会場は400人の住民で埋まった。冒頭で住民が「経済効率を優先した改革に疑問を感じる」と迫った。嵐田副知事は即座に「財政再建のための改革ではない」と言い切った。だが、3月の定例道議会では説明が一転。高橋知事は6日の記者会見でも、大阪府の橋下徹知事を引き合いに、道財政の再建に向けた支庁再編に意欲を見せた。
濱谷一治江差町長は「道の説明は二転三転する。まったく信用できない」と憤る。高橋知事は13日の道議会で「支庁制度改革推進本部」を庁内に設け、来年度の体制移行を目指す考えを強調した。濱谷町長は「道の手順はおかしい。庁内議論や地方との対話を重ねてベストな提案をするのが筋道だ。こうした姿勢が拙速と批判される理由だ」と語る。
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高橋知事は10日、道市議会議長会長、道町村議会議長会長と個別に会談したが、両会長は「支庁廃止地域の理解が前提」と、慎重姿勢を崩さなかった。11日に会談した、道市長会長の新宮正志・室蘭市長も「非常に危機感を持っている」と、拙速な条例提案に懸念を示した。高橋知事が自ら乗り出した説得は不発に終わったが、地方側では「提案前に議論はできたはず。道議会向けのアリバイ作りだ。説得に応じない地方に“抵抗勢力”のレッテルを張るつもりか」(関係者)との声も。
また、道町村会長の寺島光一郎乙部町長とは、対話の糸口が見いだせない状態だ。財政難や過疎化に苦しむ町村にとって、支庁再編は浮沈にかかわる問題だ。道町村会は、道行政の複雑化を招き、支庁廃止地域から農林水産業など、地域振興にかかわる職員や権限を引きはがす再編案であると、異議を唱え続けてきた。
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「道町村会は昨年から検討状況の説明を求めてきたが道は応じなかった。慎重な議論を求める145町村の総意を無視する姿勢は理解しがたい」と語る寺島会長。「支庁再編のメリットは何もない。再編で打撃を受ける仲間を見殺しにできない」として、高橋知事との対決色を鮮明にしている。
道町村会は、地方4団体でも最大勢力。道議会でも「道町村会を無視して地方の理解を得たとは言い難い」との声も上がる。知事与党の自民党・道民会議では、支庁廃止地域やベテランの道議を中心に反対意見や慎重論が根強い。同じ与党の公明党も、地方4団体の理解が得られない状態での採決には慎重だ。支庁再編をめぐる論戦が過熱している定例道議会でも、知事の地方との“対話姿勢”が問われそうだ。
提供 - 函館新聞社
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