時計修理の道50年 時計店経営の寺田 昭吉さん…きょう「時の記念日」
update 2008/6/10 11:12
函館市堀川町で時計店を営む寺田昭吉さん(66)はこの道一筋50年。ゼンマイ仕掛けから電池で動かすクオーツ式へと、時代と共に仕様が変化しても、変わらぬ技術で数多くの思い出の時計や眠っていた時計をよみがえらせてきた。「技術を磨き続け、100歳になっても時計職人でいたい」。熟練の時計職人は静かに“年輪”という時を刻み続けている。6月10日は「時の記念日」―。
寺田さんは長万部町出身。16歳の時、集団就職で函館市内の時計店に入店し、計2店舗で20年間修行を積んで独立した。当初は、手巻きのゼンマイ時計や自動巻きだったが1970年代からクオーツ式が主流となった。
「クオーツは内部の機械を交換するだけだが、手巻き、自動巻きの修理は職人の腕次第。メーカーが作った通りに何としても直すという執念で挑む」と寺田さん。手巻きや自動巻きの修理は、部品が精密で細かく、ネジ1個バネ1本でも失うと仕事が進まない。ネジが少しでも緩むと時間が合わなくなる。
「決して楽ではないが仕事にほれ込んでいる。自分が満足できない結果だと代金をもらわない」ときっぱり。国家資格の時計修理一級技能を持ち、腕には自信があるが、技術を磨く研究努力は惜しまない。大事な商売道具でもある「右手」を守るため、「持つのは修理で使うピンセットとはしぐらい」と笑う。
クオーツの時代が到来し、修理の依頼が減った時期もあったが、地道に誠意を持って依頼を受けた結果、仕事の紹介が増えた。入学や進学、結婚などの節目にもらった記念の時計を直したいという依頼は後を絶たない。
安価な時計は修理するより、買ったほうが安い場合もあるが、寺田さんは「いい時計は修理代がかかるけど、定期的に手入れをすれば長く使える」と話す。毎年、客への年賀状には「直した時計は使ってますか?」と一言添えてみる。「やっぱり直した時計を長く使ってもらえることが一番うれしいから」と目を細める。
提供 - 函館新聞社
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