森谷律子さん 闘病中の夫に送ったメールの詩歌を本に

update 2008/6/6 13:29

 函館市本通3の森谷律子さん(59)がこのほど、がんで闘病生活を送る夫勝さん(61)から携帯電話のメールで送られてきた詩歌を一冊の本にまとめた。看病する妻への感謝の気持ちなどがつづられた一編一編を、律子さんがノートに書き写し、夫婦二人三脚で仕上げた作品集で、その名も「きずな」―。勝さんは「詩集は夫婦のきずなの証し。闘病生活の励みになる」としている。

 函館工業高校の元国語教諭の勝さんは、優しい人柄で行動派。律子さんとは暇さえあれば旅行などに出歩く仲の良さ。夫婦は昨年12月で結婚30周年を迎えた。勝さんは定年退職を間近に控えた2006年冬、人間ドックで胆管がんが見つかり、札幌市内の病院で手術を受け、現在は函館市内の病院に入院中。昨年10月から律子さんが毎日泊まり込みで看病を続けている。

 連絡を密に取ろうと、夫婦がそれぞれ携帯電話を持ったのは昨年4月。以前から趣味で川柳を作っていた勝さんは「携帯電話は紙に書くより楽で、保存できるから便利」と、詩歌をしたためてはほぼ毎日、消灯前に律子さんに送信した。普段は照れくさくて言えない律子さんへの素直な気持ちをつづり、半年でその数は180編を超えた。

 「来る度に ご馳走持参じゃ 疲れるよ 君の笑顔に かなう土産なし」といった妻への愛情、「哀楽も 二人で分けて 食事する」のように苦楽を共にする夫婦のきずなを表現した句も。「病食に 添えし君の 手料理は 我が家の味なり 舌に溶けゆく」「病院の 居候なれど 心に芯あり 神よどうする この僕を」など闘病生活の正直な胸の内を詠んだ歌もある。

 律子さんは「受け取ったメールに励まされ、涙ぐむことが多かった」と明かす。メールだけで残すのはもったいないと、詩歌を書き写していくにつれ、一冊の本にしたいと思うようになった。

 勝さんの実姉、武知美和子さん(65)がパソコンでの編集制作に協力。A4判72nで、各ページの詩歌の下に、旅行先などで撮った楽しげな夫婦のスナップ写真を添えた。当初は知人に配ろうと60部作り、50部増刷した。

 律子さんは「夫婦だけの作品集にするつもりが、立派なものが出来上がり、我が家の宝になった」と話している。

提供 - 函館新聞社



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