焼酎の絞りかすからメタンガス、プラント建設へ

update 2008/5/30 19:55

 【厚沢部】町内産サツマイモを原料に、本格芋焼酎を生産している札幌酒精工業厚沢部工場(岩崎弘芳工場長)から出る焼酎の絞りかすを生かし、メタンガスや肥料を作り出す「バイオガスプラント」が同工場の隣接地に建設される。ガスはサツマイモの育苗に利用、肥料はサツマイモの栽培農家に提供する。原料生産から醸造まで一貫した循環型システムを整えるのは全国の焼酎工場でも初の試みとみられ、地球温暖化など環境問題への関心が高まる中、注目を集めそうだ。

 プラントを建設するのは同社が町内に設けた農業生産法人ノアール(小堤文郎社長)。プラントは6月中にも着工し、今シーズンの醸造が始まる11月中の運転開始を目指すという。 プラントは年間約1000d生じる絞りかすを、微生物の働きで発酵させてメタンガスを取り出す。ガスは工場に隣接する育苗ハウスの熱源などに利用、ガス分離後に生じる液体は肥料として栽培農家に提供して畑に散布する。

 芋焼酎の本場・鹿児島県の焼酎工場では、産業廃棄物となる絞りかすをメタンガスの原料や家畜用飼料として活用しているが、農家と連携して育苗から醸造まで一貫した循環型システムを整えるのは「全国の焼酎工場でも初めての試みではないか」(同社)としている。

 小堤社長は「焼酎醸造の工程が見学できる工場は、観光スポットとして注目されている。今後は環境面に力を入れた醸造現場の見学を通じ、循環型社会を考えるきっかけを提供できれば」と語る。

 総事業費は4億1234万円。国が2分の1に当たる1億9635万円を町を通じて補助する。町は30日の第2回臨時町議会に、補助金を盛り込んだ一般会計補正予算案を提案する。 

提供 - 函館新聞社



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