「多様な新聞、言論が大切」…読売新聞・朝倉論説委員長が講義

update 2008/5/22 14:48

 道教育大の市民開放型特別講義「戦後政治史と新聞の社説」が21日、同大函館校で開かれ、函館出身で読売新聞東京本社論説委員長の朝倉敏夫氏が講義した。朝倉氏はわが国の二大新聞である読売と朝日の社説や社論の違いを比較し、「それぞれの視点や論点を持つが、読売として自信の上に立って主張している。マスコミの数や言論の数は多い方が良いという考えに変わりはない」と述べた。

 朝倉氏は同大特任教授で、昨年に続き2回目の講義。市民や学生ら約100人が聴講した。朝倉氏は、新聞社には事実を伝える報道機関(編集局)と言論機関(論説委員会)の機能があることを紹介。事実についてどう考えるべきか、どうあるべきかを主張するのが論説委員会の社説であるとした。

 読売は改憲、朝日は護憲を主張し、日の丸・君が代、愛国心、太平洋戦争末期の沖縄の集団自決問題などでも両社の主張や視点は違っている。その違いの大きな分岐点は、日本の主権が回復した1952年のサンフランシスコ講和条約に向けた両社の姿勢の違いだった、と指摘。「朝日は旧ソ連・東欧諸国、中国を含めた全面講和を、読売は西側重視でまずは独立を目指すことを求めた」と説明した。

 敗戦後、新聞社は言論の自由を確保したと思われがちだが、実際はGHQ(連合国軍総司令部)の厳しい言論統制があり、GHQの検閲があること自体、国民に知らされていなかったことも紹介した。昨年秋に表面化した自民党と民主党の大連立構想についても語り、参加者の質問に気さくに答えた。

提供 - 函館新聞社



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