イカゴロ問題 きょう高橋知事に直談判
update 2008/4/23 13:32
【乙部】かつて“海の肥料”と呼ばれ、豊かな海をはぐくんだイカゴロ(イカ内臓)。磯焼けでやせ細る日本海の復活は漁業者の悲願だ。豊富な栄養を含むイカゴロの再利用や海中還元に関する道の規制は不当―と訴える乙部町の漁業者が23日、札幌で高橋はるみ知事と直接会談し、規制撤廃を迫る。“直談判”という手段に出た漁業者の切実な声に、知事がどう対応するか注目される。
「桧山の海には栄養が必要だ」。17隻のスケトウダラ漁船を率いる松崎敏文乙部船団長が訴える。乙部沖では海藻が消えて、岩場が白く変色する磯焼けが進む。かつては浜でイカを裂き、イカゴロを海に戻した。「昔は海が黒くなるほど海藻があった」という。
長年の悲願だったイカゴロの海中還元試験が実現したのは昨年10月末。4月からは試験のために漁業者全員で水揚げ額の1%を拠出しようと意気込んだ矢先、道側から出た“中止命令”に怒りは収まらない。知事との会談には、ひやま漁業の阿部一副組合長を先頭に、松崎船団長ら漁業者のリーダーのほか、町議会の大坂裕康副議長ら総勢17人で臨む。
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道は規制の根拠に92年の水産部長通達を挙げる。イカゴロなど水産廃棄物の再利用が、海洋汚染防止法や廃棄物処理法に違反するとして、試験実施を許可制とするなどの制約を課す内容だ。今回、一連の問題を受けて道は、通達を全面改正して試験実施を届け出制に改める方針を町に示した。だが、産業廃棄物であるイカゴロの処理に多額の費用を投じている中、規制緩和が悪質業者に海中投棄の“抜け道”を与えるという懸念も拭えない。「無秩序な投入を防ぐ歯止めは必要だ」と亀谷敏則桧山支庁長は言う。
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これに対し、「道の規制は国の法解釈を逸脱しており何ら根拠がない」(寺島光一郎町長)というのが地元の主張。国が適法と認めた行為を道が独自解釈で規制すること自体を問題視する。「漁業者以外の不法投棄があれば、権限を持つ海保が摘発すべき問題」と訴える。
国は05、06年の2度にわたり、イカゴロの海中投入について「漁業生産のための行為は廃棄物の排出ではない。法による規制は適用されない」と国会で答弁。今回も環境省や農水省は町の主張を支持、道の規制を疑問視する。寺島町長は「道が国の法解釈を受け入れないのなら法廷で司法判断を仰ぐべき」とする。
提供 - 函館新聞社
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