イカゴロ海中還元は違法?

update 2008/4/16 13:42

 【乙部】乙部町の漁業者が日本海の磯焼け対策として実施しているイカの内臓(イカゴロ)を海中還元する試験事業について、檜山支庁が3月末、海洋汚染防止法に抵触するとして中止を指導していたことが分かった。イカゴロを魚のmノや海藻の肥料として海中投入することは漁業の一環で、規制は受けないとする国の見解を根拠に試験を進める町、漁業者は猛反発している。道は15日に一転、中止指導を撤回。檜山沿岸全域で試験実施を認めるよう規制を緩和する方針を示し、理解を求めているが、町や漁業者との溝は深い。

 15日に開かれた「豊かな浜づくり協議会」の緊急総会で、寺島光一郎町長は「漁業者の名誉を傷付けた。法的措置も辞さない」と強調。阿部一ひやま漁協副組合長も「行政の磯焼け対策が遅れる中で漁業者が立ち上がった。なぜ中止なのか」と憤った。出席した漁業者もこぞって反発、早期に道庁を訪れて高橋知事に抗議する方針を決めた。

 こうした激しい反発の中、道は同日までに、指導を撤回する方針を町に伝え、(1)本年度の試験を速やかに実施できるよう対応(2)檜山沿岸で新たに海中還元を行う地域でも簡素な手続きで実施を認める―などの方針を示して理解を求めている。

 乙部町や上ノ国町は2004年、磯焼け現象や海中の貧栄養化の改善に向けて、従来は廃棄物として、海中投入が厳しく規制されていたイカゴロの海中還元を検討。国に構造改革特区の申請を行ったが認められなかった。05年には再申請も却下されたが、国は新たに漁業の一環で行う海中還元を容認。上ノ国町では06年から道の承認を受けて、イカゴロをmノに魚をおびき寄せる集魚試験をスタートした。乙部町でも昨年10月から磯焼け対策に重点を置いて、上ノ国町の試験を補完するとして独自に試験事業を開始した。

 上ノ国町の試験は昨年度末で終了したが、乙部町は国が示した見解を根拠に、本年度も試験を継続する方針を示した。こうした動きを受け、同支庁はあらためて道の承認が必要と指摘。承認を得ずに試験を継続すれば「摘発対象になる」として警告し、試験中止を求めたという。

 これに対して、乙部町は「国は漁業の一環として海中還元を認めている。道が承認を求めることには根拠がない」と反発していた。

提供 - 函館新聞社



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