危険業務従事者叙勲に道南から21人
update 2008/4/12 12:32
政府は12日付で、第10回危険業務従事者叙勲受章者を発表した。全国の受章者総数は3625人、うち道内は341人。道南では渡島管内から21人が選ばれた。同叙勲は、2003年の栄典制度の見直しで春秋の叙勲とは別に新設された。警察官、自衛官など危険性の高い業務従事者が対象。発令日は29日。
【危険叙勲・瑞宝双光章】海上保安功労・元海上保安官 野田昭八さん(75)
「周囲の先輩や仲間、家族に感謝したい」と語る。
1933年、大野町(現北斗市)出身。函館中部高卒業後、52年に海上保安庁に入庁した。稚内、函館、釧路など道内各地を転任し、91年に函館海保次長に就任、93年に定年退職した。
主に警備救難業務を担当し、海上のさまざまな事件事故の犯人捜査に当たった。特に印象深いのは81年、インド洋を航行中の汽船で起きた殺人事件。容疑者のフィリピン人機関員の取り調べを行い、見事解決に導いた。国際捜査共助法による共助要請第一号で注目を集め、「生涯に一度の特異な事件」と振り返る。「取り調べは1対1の勝負で責任は大きいが、被害者の財産や人命の回復に寄与できるのがやりがい。好きな仕事だった」と話している。
【危険叙勲・瑞宝双光章】海上保安功労・元海上保安官 八代吉男さん(65)
「大変名誉なことでうれしい」と喜びを語る。
1943年、八雲町生まれ。61年に八雲高卒業後、海上保安庁に入庁。初任地の函館海保で巡視船「みよちどり」の操舵(そうだ)員として勤務したのを始め、各地を転任。93年から計5隻の船長を務め、岩手県にある釜石海保の巡視船「みやけ」の船長だった2003年に定年退職した。
函館海保時代に参加した観閲式は思い出深い。「全国の巡視船などが集まる盛大な催し。パレードの参加訓練も貴重な経験だった」と振り返る。10年間続けた船長職を「船という1つの社会の長として統率力が必要。緊張感があり、大変なことも多かった」と語る。現役で活躍する後輩たちには「責任感を持って海上保安業務に当たってほしい」とエールを送る。
【危険叙勲・瑞宝双光章】防衛功労・元2等海尉 野澤英雄さん(61)
「受章は船長や乗組員、家族の力添えがあってこそ。たまたま自分が代表でもらったと受けとめている」と話す。
1946年、豊頃村(現十勝管内豊頃町)出身。札幌市立星園高卒業の66年、海上自衛隊に入隊した。第32護衛艦「きたかみ」を皮切りに、計13隻の護衛艦と掃海艇の機関員として船の“心臓部”の機関室で職務に励んだ。98年には水中処分母船の機関長に就き、2000に定年退職した。
25歳のころ、第14次観測隊を乗せた南極観測船「ふじ」での勤務経験は忘れられない。00年、室蘭港の海底で大量に見つかった砲弾処理にもかかわり、「身近な海で発見され驚いた。危険が伴う作業で気を遣った」。海上での34年間を「あっという間。母子家庭のように家を守り、支えてくれた妻に感謝」と語る。
このほかの受章者は次の通り。氏名、年齢、現住所、功績概要、主要経歴の順。(敬称略)
◆瑞宝双光章
高井正直(75) 北斗市中野通、消防功労、元道南渡島消防事務組合消防司令長
◆瑞宝単光章
安藤喜久夫(80)函館市山の手、警察功労、元道警部補
伊藤之夫(81)同市美原、同、元道警部
今田務(80)同市美原、同、元道警部補
小笠原義昭(80)同市東山、同、元道警部
北村克良(61)同市柏木町、防衛功労、元3等陸尉
酒井大四郎(80)同市乃木町、警察功労、元道警部
新保全二郎(80)北斗市本町、同、同
高津脩(64)函館市深堀町、矯正業務功労、元法務事務官
高橋昭雄(79)同市日吉町、警察功労、元道警部
高橋廣治(79)七飯町大川、同、元道警部補
高橋正太郎(79)函館市日乃出町、同、元道警部
田原政吉(80)同市富岡町、同、元道警部補
中里秀男(82)八雲町東雲町、消防功労、元道八雲町消防司令補
藤田裕之(80)七飯町本町、警察功労、元道警部
水沼昭久(80)函館市港町、同、元道警部
村井正憲(61)同市西旭岡町、防衛功労、元3等海尉
吉崎久男(79)同市谷地頭町、警察功労、元道警部
提供 - 函館新聞社
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