多重債務の問い合わせ最多…法テラス設立2周年

update 2008/4/11 09:44

 法的トラブルの解決に役立つ情報を提供する日本司法支援センター(愛称・法テラス)が10日、設立2周年を迎えた。函館地方事務所(愛称・法テラス函館、函館市若松町6)も業務開始から1年半が経過。法制度などの「情報提供」の利用は月平均で2006年度の94件から07年度は124件に増加し、認知度が高まりつつある。多重債務に関する問い合わせが最も多く、景気低迷の影響が色濃く表れている。同日、新所長に就任した佐藤憲一弁護士は記者会見し、「函館、江差とも多重債務が突出して多く、全国平均を上回る。道南の不況、個人所得の低さがうかがえる」と述べた。

 法テラスは06年4月10日、総合法律支援法に基づき設立された。半年間の準備期間を経て、函館は同10月から業務が始まった。司法過疎対策として道内では唯一、江差にも地域事務所が設置されている。電話での問い合わせは東京のコールセンターが全国から受け付け、各地方事務所へ転送する仕組みだが、直接、地域事務所が受ける場合もある。

 法テラス函館での情報提供業務は、電話か来所による面談で対応。06年10月の業務開始から08年3月末までの利用実績は、電話1572件、面談484件の計2056件に上る。利用は増加傾向で、1カ月当たりの件数が07年2月から100件を超え、同11月は150件に達した。佐藤所長は「広報活動や自治体などの関係機関の紹介が増加につながった」と分析する。

 内訳は多重債務が727件と全体の35・4%を占めた。低所得層を対象に無料で法律相談を受け、弁護士費用などを立て替える「民事法律扶助」業務の一つ「代理援助」でも848件の92・2%に当たる782件が、自己破産や任意整理など多重債務に関する内容だった。

 会見には、本年度から2人体制となる副所長に就任した藤原秀樹弁護士と和根崎直樹弁護士、3月に法テラス函館内に法律事務所を構えた曾我裕介弁護士も出席。佐藤所長は「認知度を高める努力をし、多様なニーズに応えられる体制を整え、一つ一つ丁寧に対応していきたい」と話した。問い合わせはコールセンターTEL0570・078374、法テラス函館TEL050・3383・5560。

提供 - 函館新聞社



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