きょう湊町長を聴取…森町不正入札で道警

update 2008/4/9 11:08

 森町が2005年に発注した消防防災センターの建設工事の入札をめぐる官製談合疑惑で、道警捜査二課は8日、偽計入札妨害の疑いで、同町の前建設課長(60)=定年退職=や、工事を落札した共同企業体(JV)の町内最大手の建設会社社長(55)ら関係者の事情聴取を行った。関係者らは談合をほのめかす供述をしているとみられ、道警は容疑が固まり次第、逮捕するとともに、事件に関与した疑いもあるとして、9日にも湊美喜夫町長(79)から事情を聴く方針だ。

 道警の調べなどによると、前建設課長は05年9月下旬に行われた同センターの建設工事の指名競争入札で、町内の建設会社と東京に本社を置く準大手のゼネコンが組んだJVが落札できるように、入札参加業者の選定に便宜を図り、建設会社社長はこの入札に参加した町内の業者とともに談合し、落札した疑いが持たれている。

 問題の入札には、同JVの2社を含め計14社が5つのJVを組んで参加。同センターの予定価格が5億4190万5000円だったのに対し、同JVの2社は予定価格に極めて近い5億570万円で落札した。

 この落札率は98%で、ほかの参加業者も入札率の差が1%未満となっているため、談合による不正があった疑いが指摘されている。

 これまでの調べで、同建設会社は当初、町内の別の中小建設会社とJVを組む予定だったが、入札直前になって同ゼネコンとのJVに組み替えたり、JVを組んだ2社の出資割合を入れ替えたりするなどした疑惑が浮上している。

 道警は同JVが落札できるよう「天の声」があった町主導の官製談合の可能性が強いとみて慎重に調べを進めている。

  森町発注の消防防災センター建設工事の入札をめぐる官製談合疑惑。入札直前まで地元最大手の建設会社と共同企業体(JV)を組んでいた同町内の中小建設会社は函館新聞の取材に対し、「突然、(大手建設会社から)JVの組み直しを求められた」と話した上で、JVの組み替えや選定に町幹部が関与していた可能性を指摘した。道警は8日から、町内最大級の公共工事をめぐり、町側、業者側の双方の思惑が複雑に絡み合った疑惑の解明に向け、本格的な捜査に乗り出した。

 「JVを組んでいた町内大手建設会社は当初、うちを含め地元業者2社とJVを組んで入札に参加しようとしていた。それなのに入札直前に突然、この大手建設会社からJVの組み替えを一方的に言い渡された」。急きょJVから外されることになった町内の中小建設会社の社長は淡々と漏らした。

 さらに、「過去10年では最大規模の公共工事で、公表された予定価格も高かった。うちは入札参加資格のランクが低いためだったと理解し、組み替えを承諾した」と話す。この建設会社は結局、ほかの町内の建設会社と計3社でJVを組んで同センターの入札に参加したが、落札できなかった。

 地元関係者によると、同センターの建設工事を落札したJVは、入札前まで地元建設会社が出資比率が高かったが、入札時にはゼネコンがメーン、地元建設会社がサブへと入れ替わっていたという。町内の建設関係者は「出資割合が途中で変わることはまれで、不自然と言わざるを得ない。当時から不正があったとの憶測が飛び交っていた」と話していた。


 道警は8日午前、道警本部や道警函館方面本部から派遣された捜査員数人が町役場などを訪れ、副町長や現建設課長らの事情聴取を開始。町側には建設関係の資料の提出を求めたという。この日は関与の疑いも浮上している湊町長への聴取はなかったが、町長は終日、町長室にこもったままで、出勤、退庁時にも終始無言だった。

 同町の阿部眞次副町長は同日午後、報道陣を前に「町長の体調が十分ではなく、昨年1月にも倒れたばかりで再発したら命取りになる」として過剰な取材の自粛を要請。その上で「談合の事実関係も含め、町長からの指示や関与は一切ない」とあらためて疑惑について全面否定した。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです