函館の“顔”22点…13日から画家「木村捷司記念室」肖像画展

update 2008/4/8 19:48

 【七飯】生涯にわたり道南で創作活動を続けた画家、木村捷司さん(1905―91年)の作品約600点を収蔵・展示する「木村捷司記念室」(七飯町鳴川1)は、開室15周年の記念事業の第1弾として、13日から昭和の函館の経済、文化などを支えた重鎮の「顔」を集めた肖像画展を開催する。市立函館図書館を設立した岡田健蔵氏(1883―1944年、市中央図書館所蔵)やトラピスト修道院初代院長の岡田普理衛(ジェラール・プーリエ)氏(同修道院所蔵)など各施設が所蔵し、普段は見ることができない作品ばかり。同室を開設する二男で芸術家の裕行さん(62)=琢磨工房社長=は「生き生きとした表情を見てほしい」としている。

 木村さんは函館市に生まれ、27年に東京美術学校(現・東京芸術大)に入学し、卒業後は七飯町に居を構えて創作活動を続けた。38年から終戦にかけては幼少期を過ごした樺太を、戦後は道南各地の風景など身近な題材、70年からはヨーロッパやアジアなど世界各地を訪れ、自然や文化、人々の生活を描いた。

 今回テーマとした肖像画は生涯にわたって数多く手掛けた。高いデッサン力と対象人物の内面や人生が垣間見える描写に、深い観察力を感じさせる。

 展示されるのは同室に所蔵する10点に加え、各企業や施設の協力を得て借りた作品を含め全22点に上る。合同容器の設立者で石川pケ木の研究を支援した杉崎清一郎氏、魚類内蔵の飼料化の技術を確立した日本化学飼料設立者の竹井俊郎氏、棒二森屋デパートを開店させた一人の萩野清六氏のほか、天佑寺を再建した大僧正・山口知順氏、函館ハリストス正教会長司祭の白岩徳太郎氏など明治に生まれ、函館経済・文化の基盤を作った故人が顔をそろえる。

 交流を重ねた岡田健蔵氏の肖像画は43年、当時市内青柳町にあった市立函館図書館館長室で描いた。陽光を背に文献を読む姿は、私財を投じて図書館建設に力を注いだ岡田氏の人柄と人生が映し出されている。

 裕行さんは「函館に活気があった時代のユニークな人物像を若い世代に見てもらいたい」としている。同企画展は6月29日まで。赤松街道沿いの同記念室には、世界の風景画や素描などのテーマのフロアもある。

 11月まで毎週日曜、午前11時から午後5時まで開館している。入場料は500円。問い合わせは同記念室TEL0138・65・2324。

提供 - 函館新聞社



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