一位物産、再生手続き終結

update 2008/3/31 11:24

 民事再生手続きを進めていた函館市の不動産管理会社、一位物産(安田博社長)が函館地裁から、再生手続きの終結決定を受けていたことが30日までに分かった。大手スーパー、イトーヨーカドー函館店(同市美原1)が入居する一位ビルの賃貸収入を債務弁済に充て、再生が順調に進んでいる。再生法申請時の負債総額は約115億円。金融機関などの支援を受けずに自力再建の道を固めた。低迷する函館経済界にとって、大きな朗報となりそうだ。

 民間信用調査機関や同社によると、一位物産は1975(昭和50)年の設立。不動産取引や施設建設を積極的に進め、91(平成3)年には年商81億円を計上した。病院やハイヤー会社、建設会社などのグループ企業全体では年商150億円、総資産は1100億円に達した。

 しかし、土地取引への融資を制限する総量規制で92年に事業が中断。一時はグループ全体で約500億円の借入金を抱えた。従業員約500人の再就職は同社が各方面へ仲介し、優良資産の売却などを進め350億円以上を返済したが、2003年8月、民事再生法の適用を申請した。

 申請代理人の山崎英二弁護士によると、債権者集会の議決を得て05年2月に再生計画が確定。約115億円の負債のうち、再生債権約84億円を13・5%まで圧縮し7年計画で弁済を進めている。担保権付き債権約31億円も10年計画で順調に弁済している。終結決定は2月28日付。

 民事再生は銀行や他社が支援するスポンサー型と、自力による収益弁済型がある。函館地裁管内では一例として温泉旅館が民事再生を終了しているが、スポンサー型で負債総額は約13億円。一位物産は収益弁済型として地裁管内で初めての手続き終結。「負債総額100億円以上で、自力弁済により再生手続きを終結した事例は道内でも珍しい」(山崎弁護士)という。

 イトーヨーカドー函館店は1980年、一位物産会長の村上幸輝氏が建設した一位ビルに入居。ヨーカドーは黒字経営で今後も入居を続け、一位物産は賃貸収入で残りの債務弁済資金が確保される見通し。一部に債務圧縮があるものの、村上氏は92年から16年かけて約500億円の債務を返済する道筋を固めた。

 再生手続きの終結で裁判所の監督を離れ、同社は新たな事業展開ができる。

 同社は「独り立ちが認められ、今後もヨーカドーとともに地域に愛され、貢献する企業として歩んでいく。函館は近い将来、再開発事業が地域の生死を分ける。そちらの面でも貢献できるよう、研さんを積んでいきたい」と話している。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです