グリーンベルト構想推進会議が初会合、桧山に豊かな森と海を

update 2008/3/30 10:44

 【上ノ国】豊かな森と海の復活を図ろうと、上ノ国町が提唱する「日本海グリーンベルト構想」を桧山管内全域での取り組みに拡大する「桧山地域日本海グリーンベルト構想推進会議」の初会合が28日、同町役場で開かれた。森林伐採で荒廃した日本海沿岸に、20年以上の長期計画でドングリ(カシワの種子)を植え続ける運動をどう発展させるか、参加者が意見を交わした。

 推進会議には、桧山支庁、江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻、せたな、八雲町(旧熊石町)の日本海沿岸6町に加え、内陸の厚沢部・今金両町も参加。さらに新函館農協、ひやま漁協のほか、管内5つの森林組合、桧山建設協会など21の機関・団体で組織した。

 初会合で亀谷敏則桧山支庁長は「北海道洞爺湖サミットまであと100日。環境への関心が高まっている。美しい日本海と潤いのある環境を次世代に伝えたい」とあいさつ。会長に就任した市山亮悦同漁協組合長は「海に栄養がないのは森が失われたから。資源の枯渇した日本海を子孫には残せない。今できることから始めるべきだ」と意気込みを語った。

 推進会議は本年度、住民に構想をPRする一方、町ごとの植生や環境に適合した樹木や種子の選定、住民自身による種子の採取や苗木の育成に向けた体制づくりを進める。同時に道内外の住民に種子を預けて苗木を育ててもらい、育った苗を植樹活動に提供してもらう「苗木の里親制度」の創設を検討。2009年度以降は桧山管内以外への展開も検討する方針。

 日本海沿岸では江戸時代から樹木の伐採が進み、海岸部の大部分が樹木のない荒れ地となっている。水産資源の減少や海中の栄養分が減る貧栄養化が深刻化な日本海では、陸上からの土砂流出を防ぎ、豊富な栄養分を供給する森林の回復が急務となっている。

 だが、過疎化や財政難に苦しむ沿岸自治体は、従来型の植林事業に巨費を投じることが困難な状況。このため上ノ国町は06年度、檜山森づくりセンターなどの協力で、少ない予算で長期間継続できる植生回復の手法を模索。町民が集めたドングリや種子から育てた苗木の自然力を生かして植生回復を図る「日本海グリーンベルト構想」を策定した。

 漁業者を中心に06年度には3000個、07年度は4500個のドングリを沿岸に植えた。ユニークな活動は町内外の注目を集め、道も積極的に活動を支援。同支庁を中心に推進会議発足にこぎ着けた。

提供 - 函館新聞社



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