マッサージ取り入れる…函病の緩和ケア取り組み

update 2008/3/26 13:41

 がん患者の心身の苦痛を和らげる「緩和医療(ケア)」―。函館市内でも専門病棟だけでなく、一般病棟にも医療者の「緩和ケアチーム」による支援の手が届き始めている。“看取(みと)るケア”から“前向きに生きる手助けをするケア”へと、その在り方が変わりつつある。チームの活動にマッサージを取り入れている市立函館病院(函館市港町1、吉川修身院長)の取り組みから、緩和ケアの現状と可能性を探った。

 同病院は2006年に医師や専門知識を持つ緩和ケア認定看護師、理学療法士、薬剤師らでつくる「緩和ケアチーム」を発足させ、回診や症例検討などを始めた。がん患者のリラクゼーションを目的に、同病院では独自にチームの活動の一環として「緩和マッサージ」も導入した。

 マッサージを担当するは、同病院ただ1人のあん摩マッサージ指圧師、平澤孝男さん(45)。主治医や看護師の勧めで本人がマッサージを希望すれば、その都度平澤さんに依頼が来る。これまで40人余とかかわり、その多くは告知を受けている末期がん患者だった。

 「マッサージが少しでも気晴らしになれば」。平澤さんは病棟を訪ね、1人当たり1日30分程度、いすやベッドの上で足や首、肩、背中などをもみほぐす。初めて依頼を受けた患者は、抗がん剤などの効果と相まって、マッサージを始めてから足のはれが引き、主治医を驚かせた。

 進行性の病気で目が不自由な平澤さんにとって、患者の表情は分かりにくいが、病棟の看護師から「(患者の)顔つきが明るくなった」と聞くこともある。「マッサージが痛みを取り除くというより、手で触れることで安心感が生まれるのでは」。平澤さんは闘病生活につかの間の安らぎを与えようと、気を込めて患者に触れる。

 「緩和ケア」に対する一般の認識はまだ十分とはいえない。13日に同病院で開かれた市民向けの公開講座で、緩和ケア認定看護師の伊東京子さん(33)、小野裕子さん(28)が「痛みと同時にほかの諸症状のコントロールや心理面のケアを行い、患者とその家族の高質なQOL(生活・生命の質)を実現すること」と理解を求めた。

 世界保健機構(WHO)も「末期だけでなく、早期の患者にも治療と同時に適用すべき」と定義する。「最期を見据えて何もしない」という誤ったマイナスイメージの改善が課題とされている。

 平澤さんは「もしマッサージを必要とする患者がいるのに受けられない状況があるなら、依頼が増えるようにしなくては。少しでも楽になってもらいたいから」としている。

提供 - 函館新聞社



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