北大農学部の園田さんが縁桂の卒論
update 2008/3/20 13:07
【乙部】乙部町の富岡国有林には推定樹齢500年と言われるカツラの巨木「縁桂(えんかつら)」がある。空中で2本の枝が結び付いた連理(れんり)の木で、縁結びの神木として信仰を集めてきた。北海道大学農学部森林学科4年の園田圭佑さん(23)は、縁桂を新たな地域資源として活用しながら、後世に守り伝えることを提言する卒業論文をまとめ、19日に研究成果の報告会を町役場で開いた。
報告会には寺島光一郎町長、町職員や縁桂の保護に携わる住民ら約30人が参加した。
園田さんは昨年9月―11月に町内に滞在、縁桂の信仰や保護活動を調査。「地域資源としての巨樹・巨木の可能性―乙部町の『縁桂』を事例として」と題する卒業論文をまとめた。
園田さんは、道内の「巨木」を調査した結果、「樹木の保護や管理に至っていないケースが多い」と指摘。一方で“縁結びの神木”として信仰を集める縁桂は、住民が積極的に保護や管理に参加し、町や林野庁も協力して遊歩道などを整備したことが、保護の気運を盛り上げたと分析。町内の森づくり団体結成や縁桂でのイベント例を紹介しながら「シンボル化に成功した。縁桂を通じた取り組みが町全体の森づくりに波及している」と高く評価した。
町のシンボルとして親しまれる縁桂を地域資源として活用するため、縁桂の保護やイベント開催を担う人材育成の大切さも強調。「葉や枝を使ったグッズ販売も検討すべき。北大でも台風で倒れたポプラ並木を生かしたグッズが人気を集めた」と話した。
また、樹齢500年と推定される縁桂を最良の状態で保護するには、周辺の植物管理、見学者に根を踏まれない対策が必要と指摘。「縁結びの神木である縁桂に手を触れられないと魅力は半減する。幹に触れられる(参拝用の橋がある)部分を維持しながら、根の周囲に人が入れないようにする対策も必要」と訴えた。
「初めて縁桂を見た時はものすごいインパクトだった。これからも縁桂を大切にして下さい」と締めくくった園田さん。寺島町長は「縁桂にはオーラがある。提言を参考に縁桂を町の宝として保護したい」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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