山で海で頑張る母たち…あす農山漁村女性の日
update 2008/3/9 11:59
農業と水産業を基幹産業とする渡島半島。高齢化や後継者不足など、取り巻く環境は厳しさを増す中、長年現場で働き、家族や地域を支える山と海の“お母さん”たちがいる。函館市で44年間、イチゴ栽培などに取り組む東寺まき子さん(64)と、北斗市で46年間、タコ漁などを営む夫と暮らす吉田成子さん(64)も、そんな女性だ。10日は「農山漁村女性の日」―。
2人は共に北斗市茂辺地生まれで茂辺地小の同級生。東寺さんは20歳で農家、吉田さんは18歳で漁家に嫁いだ。
東寺さんは1人暮らし。2003年に夫が亡くなる前は家族で稲作や野菜作りにも取り組んでいたが、現在はイチゴ栽培を自宅横のハウス十数棟で行っているほか、小豆を生産し、農協などを通じて地元市場に出荷している。
親株管理や育苗、定植、ハウス内の温度調整など、イチゴはほかの作物より収穫までに手間が掛かる。「極力農薬を使わず、土に無理をさせない」。手間を惜しまず、丹精込めて作る姿勢は稲作に励んだ義父から教わった。
最近は枯葉や草取りのため朝早くから夕方まで、ハウス内での管理作業に励む。「自分のイチゴが『甘い』『おいしい』と喜ばれるのが一番うれしいし、それが生きがい。体力の続くまで続けたい」
吉田さん宅はタコやワカメ、コンブ、アワビなど時期で魚種を変えながら、年中漁を行う。1962年の結婚後、子育て、家事の傍ら、コンブの製品化作業などずっと浜での仕事を担当していたが、夫の正二さん(72)が98年に脊髄梗塞(せきずいこうそく)を患い、下半身に障害を負ってからは一緒に沖に出て仕事を手伝っている。
船に乗り始めた最初の3年間は、毎日船酔いで吐いたというが、「つらいとか、やめたいとか思ったことは一度もない。海が好きだし、漁師の仕事は楽しい」と力強い。
指導漁業士を務めた正二さんも尽力した茂辺地漁港横の人工フノリ礁での養殖事業は、ことし7年目を迎え、今は採取の最盛期。吉田さんも採取日には手作業での摘み取りに励む。
「フノリ採取やアサリ採りは大好きな作業。特にアサリは、砂の中で手探りで貝をつかむ感触が何ともいえない」と笑う。年々仲間の漁業者が減る現状を「不景気で仕方がない部分もある。自分は体が丈夫なうちは続けたい」と話している。
農山漁村女性の日 農林水産業の重要な担い手である女性の貢献を評価し、経営や地域活動に参画できる社会形成を目指して1988年に農林水産省が提唱した。
提供 - 函館新聞社
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