小沼健太郎さん 明治期の新聞まとめ冊子

update 2008/2/20 16:49

 函館市内に住む小沼健太郎さん(68)がこのほど、函館に関する記事などが掲載された明治期の新聞をまとめた冊子を作成し、自費出版した。道内を中心に東京、神奈川など各地の新聞を集め、日露戦争時の状況や函館―小樽間をつないだ北海道鉄道の開通式の様子などが当時の紙面から読み取れる。小沼さんは「当時の新聞は函館の歴史の宝庫。文化や教育など各方面で地域のために尽力した人々の存在や知恵を後世に残すことで、現代、将来の参考になれば」と話している。

 小沼さんは元中学校の社会科教諭で、函館市史の審議委員なども務めていた。現役だった約20年前から明治時代の新聞に興味を持ち、道内や本州の図書館、資料館などに足を運び、コツコツと資料を収集していた。7年ほど前には集めた新聞資料を年代順にまとめた冊子を作成。今回は“第2弾”として創刊号や新年号、軍備戦争、函樽鉄道にテーマを絞って編さんした。

 題は「明治の新聞に見る函館の有様1」。1869(明治2)年から1912(同45)年までに創刊、発行された「江差新報」や「函館公論」など30以上の新聞が登場する。中には、日本最初の日刊新聞「横浜毎日新聞」の1870(明治3)年12月8日付の創刊号に「蒸気コリンガー船、今八日箱館工向ケ仕ダシ(出航する)」との記事があるなど、「当時、横浜と船でつながる函館は北海道の中心的存在だった」ことがうかがえる。日露戦争中の1904(同37)年7月には、津軽海峡をロシアの軍艦が通過した際に函館山にあった大砲を1発も打たなかったことについて、小樽新聞の編者が「ムザムザ海峡通過を許せるは遺憾」とつづるなど、戦時下の報道の様子なども伝わる。同年、船が遭難した際、函館日日新聞が手書きの文面をガリ版で出した号外などもある。

 小沼さんは「大火や水害など何度も災害に見舞われながらも自分たちの手で復興し、繁栄してきた函館の人々の生き方、考え方は魅力的。新聞には当時のありさまが反映され、後世に伝えるべきことが多くある」とし、現在、第3弾の編集作業に取り掛かっている。冊子はA3判265ページ。残部は少ないが、1部7000円で市内末広町13の箱舘高田屋嘉兵衛資料館(TEL0138・27・5226)で取り扱っている。

提供 - 函館新聞社



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