地域の意見反映を…条例提案先送り

update 2008/2/16 14:36

 【江差】地域と議論して再編案を作り直すべきだ―。支庁再編に進む道の動きを「拙速」と批判する濱谷一治江差町長が主張する。道は26日開会予定の定例道議会への提案を目指していた支庁再編関連の条例提案を見送ることを決めた。だが、支庁存続を求める地方と、地方分権時代の組織再構築を目指す道の主張はかみ合わず、解決の糸口を見いだせないままだ。

 堀達也前知事時代を含む、10年近い議論の経過を強調する道側。だが、濱谷町長は「道が地域住民とひざを交えて議論したことなど1度もない。交渉相手をはき違えている」と憤る。

 支庁再編を道財政再建の一環とみなす地方と、道州制や地方分権に向けた広域行政の体制構築を目指す道の議論は一方通行のままだ。「道の財政再建への努力は否定しない。そのための支庁再編なら一定の痛みは引き受ける。だが、道から協力を求める言葉はない」と江差町の住民は言う。

 道の内部でも、2006年6月公表の当初案で掲げた“6支庁案”が、昨年11月に示された具体案で“9支庁案”に後退したことを疑問視する声が強い。「札幌に近い後志支庁の存続は道民に根拠が示されていない。道内を6圏域に区分する総合計画との整合性も説明できない。道議会も地方も納得しないのは当然」と、ある道幹部は語る。

 また、提案先送りを決めた道は、2009年度の新体制発足を目指す構えを崩していないが「職員の異動、機構改正、公選法などの法律や道条例の整理など、膨大な再編準備を条例審議と並行できるのか。見切り発車に伴う道や地域の混乱も懸念される」と懸念する道職員もいる。

 こうした情勢を見据えて、第1回定例会への提案阻止を目標に掲げてきた江差町は「当面の目標は達成した。道が示す地域振興策を見極めた上で存続運動の在り方を練り直す」(総務政策課)としており、濱谷町長も「第2回定例会が次のターゲット。提案先送りを手放しで喜べる状況にはない」として、道との対決姿勢を崩さない構えだ。

 姿勢を変えない道と、生き残りのために譲歩できない地方の議論は袋小路。別の道幹部は「ボタンの掛け違いを正して地方との対話を積み上げることが解決の糸口」と指摘する。

提供 - 函館新聞社



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