節目の公演 けい古に熱…17日に市民歌舞伎「初春巴港賑」

update 2008/2/12 09:43

 道南各界の名士が集う市民歌舞伎「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」(実行委、市文化・スポーツ振興財団主催)が17日午後1時から函館市民会館(湯川町1)大ホールで開かれる。今回は第30回の記念公演で、歌舞伎十八番に数えられる「勧進帳〜安宅新関の場」、新歌舞伎の代表作「番町皿屋敷」などが演じられる。出演者は間近に迫った公演に向け、けい古に熱が入っている。

 「初春―」は1973年2月、市民劇場の主催で始まった。当時は初代市川団四郎さんの指導で歌舞伎が演じられたほか、民謡、舞踊など演目は多彩に行われていた。第11回公演(89年)には子どもだけによる歌舞伎「絵本太功記十段目」が演じられ、現在の「函館子ども歌舞伎」誕生のきっかけとなった。今回の出演者は捕手(とりて)を含め46人で、初回からの延べ出演者は1683人に上る。

 節目を祝う「勧進帳」は第20回公演(98年)でも演じられた。源頼朝と不和となり陸奥へ逃れる源義経一行が、加賀(石川)の安宅の関で富樫左衛門の関守に止められ、弁慶がうその勧進帳を読むなどし危機を脱する物語。実行委員長を務める大庚会理事長の今均さんは富樫役を演じる。「記念公演として皆がやりたいと思っていた演目。強の弁慶、柔の義経、情の富樫の3人の男のロマンがぶつかる奥深い名作を楽しんでほしい」と話す。

 けい古は1月から本格化し、2月からステージで各演目のまとめに入った。2代目市川団四郎さん、市松与紫枝さんらが時代、物語の背景に合った演技を求め、出演者に顔の表情、動くタイミングを細かく指導する。勧進帳で弁慶役の本間眼科院長本間哲さんは「練習はハード。禁酒して臨んでいます」と話す。

 女形がいない勧進帳に対し、「番町皿屋敷」は女性の純愛物語。青山播磨の恋仲、お菊は市内のバレエ教室「インターナショナルバレエストゥディオ(IBS)」主宰のビーグリィー綾子さんが演じる。団四郎さんは「女性が喜ぶロマンの物語。バレエのビーグリィーさんにとって歌舞伎は大変だったと思うが、良い芝居になるだろう」と期待を込める。

 このほか、第11回公演から演じられている「白浪五人男〜稲瀬川勢揃いの場」には函館おおてまち医院長の田中修市さんらが出演。口上は西尾正範市長ら5人が務める。 入場券は完売しており、当日券の販売は予定されていない。

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